"251840円の正月料理を持ち去った義母" 第5話
箱の
いた段ボール箱のには、の違うカップ麺が12個、隙なく並んでいた。
瞬の沈黙のあと、幼い子どもが「今はこれをべるの?」と母親に尋ねた。誰かが冗談だろうと笑ったが、その声はく続かなかった。座敷の央で、母の顔だけがみるみる赤くなっていったからだ。
「直、何のつもりなの」
「見たとおりだ。うちに残っていた正料理はつもない。だから、用できたのはこれだけだ」
「そんなはずないでしょう。由さんなら昨のうちに買い直せたはずよ」
母は自分で答えをにしていることにも気づかず、由へ鋭い線を向けた。
「あなた、正に親戚が集まると分かっていて、本当に何もしなかったの? 男の嫁として恥ずかしくないの」
由の唇がわずかにいた。申し訳ありません、と反射に謝ろうとしたのだろう。私は座卓ので彼女のを握り、その言葉を止めた。
「由が恥じることは何もない」
「妻をかばえば済む話じゃないわ。私は18来ると伝えていたのよ。恵子姉さんたちにも、由さんが派なおせちを用すると話していたのに」
伯母の恵子が眉をひそめた。
「でも久さん、昨、麻子さんのへ蟹やお肉を届けたのよね。あれとは別に、こちらの料理も用していたんじゃないの?」
「もちろん別よ。あれは私が隆志たちのために買ったものだもの」
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母は言い切った。父の正雄は杯を置き、落ち着かない様子で咳払いをしたが、訂正しようとはしない。
「直、もういいだろう。正なんだ。くのに話して、何か届けてもらえば済む」
「その代は誰が払うんだ?」
「おたちが払えばいいじゃないか。毎そうしてきたんだから」
父の何気ない言に、由の指が私ののでたくなった。これまで誰も疑問にわなかったのだ。由が働き、由がをし、母が謝される。その歪んだ形を、父も親戚も正の恒例として受け入れてきた。
私は、由が昨夜まで台所にっていた姿をいした。蔵庫へ収まりきらない品を何度も並べ直し、子どものいるにはの煮物を、歯のい伯父には柔らかな料理を別に用していた。自分のためには値引きされたパンつ買うのをためらう妻が、母に指定された銘柄の蟹には迷わずカードを差しした。それを父は、毎そうしてきた、の言で片づけたのだ。
座敷には醤油としい畳の匂いが漂い、空の箱だけが違いなほど艶やかにっていた。親戚の何かは由を見ようとせず、祝い酒の瓶や取り皿へ線を落としている。誰かでも、なぜ料理をした本が毎台所からてこないのか尋ねてくれていたら。そうった瞬、私自も同じだったと胸の奥が痛んだ。
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叔父のが空腹を隠さず、「内の揉め事はあとにしてくれ」と満げに言った。すると母は助けを得たように声を張った。
「ほら、みんな困っているでしょう。由さん、今すぐ何か買ってきなさい。嫁なら自分の失敗くらい自分で片づけて」
「失敗したのは由じゃない」
私はカップ麺をつ持ちげ、そのに隠していたい封筒を取りした。座敷のざわめきがしずつ消えていく。
「母さんにつ確認したい。昨の材を買ったのは誰だ。うちから7箱を運びしたのは誰だ。そして、なくなった分を由にもう度買わせようとしたのは誰だ」
「何を言っているの。そんな証拠がどこにあるのよ」
母は笑おうとした。しかし、頬が引きつり、目だけがい封筒を追っている。
私は封の部分へ指をかけた。
「では、母さんが昨何をしたか、18全員ので確認しよう」