"251840円の正月料理を持ち去った義母" 第2話
消えた7つの保箱
由が所の量販へかけたあと、私は玄関の録画能を確認した。
画面には1642分、のにまった父のステーションワゴンが映っていた。助席から母がり、緊急のために預けていた鍵で玄関をける。父は止めるでもなく荷をき、2で何度もとを往復していた。
蟹の入ったの保箱、精肉のロゴが入ったい箱、由が産を詰めた袋。最の7箱目を積み終えた母は、玄関先で度だけのを振り返った。それから鍵を掛け、何事もなかったようにへ乗り込んだ。
映像を見ているうちに、りより先に寒気がした。母は由に相談したのではない。留守を狙い、自分の所物のように持ちしていたのだ。
私は1642分から1709分までの映像を保し、別の端末にもコピーした。テーブルの領収は折れないよう透なファイルへ入れ、由のクレジットカード細も画面に残した。
2011分、親族のグループLINEに通が届いた。投稿したのは弟の妻、麻子だった。
『お義母さんが、私たちのためにこんなに用してくださいました』
写真には、皿に盛られた蟹と刺、箱から取りされた牛が並んでいる。由がを何軒も回って選んだ品だ。その奥には隆志が酒を掲げて笑い、麻子の両親らしい男女が満そうに箸を伸ばしていた。
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母はすぐに返信していた。
『麻子さんのご実にんでいただけて何よりです。は本でも、由さんが腕を振るいますから楽しみにしてくださいね』
親戚たちから拍や祝いのスタンプが次々と付いた。母が25万円をしたとい込み、「久さんは太っ腹ね」「さすが本のお母さん」と褒める者までいる。
由にも写真を見せると、彼女は画面へ指を伸ばしかけ、途で止めた。牛の横に置かれたさな柚子胡椒は、辛いものが好きな麻子の父親のために由が探した品だった。
「んでもらえたなら、それでいいのかもしれないね」
由はそう言って笑おうとしたが、元はわずかにゆがんだ。自分のと気遣いを奪われた側が、受け取った相をかばっている。その笑顔を見た瞬、母へのりと同じくらい、これまで黙ってきた自分への嫌悪が込みげた。
その直、今度は私個のLINEに母からメッセージが届いた。
『は9までに来るよう、由さんに伝えて。座布団18枚のカバー交換と、客の掃除もまだ残っています。料理が遅れると私が恥をかくから、今夜のうちにごしらえを済ませておいて』
材を奪っただけではりず、由の労働まで当然のように求している。私は返信せず、刻が分かる状態で画面を保した。
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そこへ由が戻ってきた。腕には箱のカップ麺だけを抱えていたが、玄関に入るなり、申し訳なさそうに目を伏せた。
「本当にこれだけでよかったの?」
「これでいい」
箱を受け取ろうとした、由の鞄から冊の古いノートが落ちた。いたページには、親戚の名、好物、アレルギー、購入した材と額が度ごとに記録されている。最初のページの付は9だった。
「毎つけていたのか」
「同じ失敗をしたら、お義母さんに叱られるから。でも、たいしたものじゃないわ」
由は慌ててノートを閉じた。その表には油の染みが残り、何度もかれた角が柔らかく擦り切れている。母にとっては当然の支度でも、由にとっては9分のと緊張が詰まった記録だった。
私はカップ麺の箱を台所に置き、もう度スマートフォンをいた。麻子の写真を拡すると、テーブルの端に由の文字が見えた。
『隆志さん用・し甘め』
煮物容器に貼られたさなラベルだった。
麻子たちは、誰が作ったものか本当にらなかったのだろうか。
母の独断だけで終わる話ではない。そううと、賑やかな写真ので笑う隆志の顔が、急にらないのように見えた。