"15冊帳簿の専業主婦" 第7話
「お母さん……! お母さん!」
咲良が泣き叫びながら私の背にしがみついてきた。私は震える娘の肩をく抱きしめ、テーブルのの解約申請をひったくると、健司の先で真っつに引き裂いた。
「ひ、引き裂きやがった……! お、自分が何をしているのか分かっているのか!?」
健司の顔がりで真っ赤に染まり、額に青筋が浮きがる。
「ええ、分かっているわ。未成の娘を脅迫して、実父母の遺産を奪い取ろうとする卑劣な犯罪を止めただけよ。……この女は誰? あなたの借の仲かしら」
私のえ切った線が隣の女を射抜くと、女は気まずそうに目を逸らし、ハンドバッグを抱えてちがった。
「健司さん、話が違いますわ。庭内のは完璧に取れているっておっしゃったじゃない。私、もうきますから」
「おい、佐伯! 待て!」
健司の制止を無して、女はにをてった。 内の客や員の線が、異様な角関係を嘲笑するように健司へと突き刺さる。
「……真由美、おという女は……!」
健司が声を潜め、奥歯をギリギリと噛み鳴らしながら私に詰め寄ってきた。
「へ帰ったら、ただじゃ済まないからな。おも、咲良もだ!」
捨て台を残し、健司は乱暴に背を向けてっていった。 私は膝をつき、過呼吸で過度に震える咲良を抱きしめた。
「怖かったね、咲良。もう丈夫よ。
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お母さんが絶対に守るからね」
「お母さん……ごめんなさい、私、お父さんが怖くて……」
「謝らないで。あなたは何も悪くない。……お母さんと緒に、戦ってくれる?」
咲良は涙を拭い、私の目をまっすぐに見つめ返した。その瞳に、母親を守ろうとするいが灯っていた。
「うん。私、あんなお父さん、もういらない」
午。 咲良を晶子の事務所に預けた、私は練馬の自宅の隣町にある、古びた都営団のを訪れていた。
迎えてくれたのは、健司の実母である義母の文(ふみえ)だった。歳。数に夫をくし、暮らしをしている気丈な女性だ。
だが、玄関に現れた義母の顔は、かつて見たことがないほど青ざめ、やつれ果てていた。
「……真由美さん。よく来てくれたね。私、どうしたらいいのか……」
居のテーブルのには、複数の消費者融からの督促状と、国民構からの通が散乱していた。
「さっきね、怖い男たちがドアをドンドン叩いて……健司の借の連帯保証に私がなっているって言うんだよ。それだけじゃない……私のの座から、毎振り込まれるはずの受額が、健司の座へ全額自送される続きが勝に取られていたんだ」
義母のが、刻みに震えていた。
「あの子は……自分の母親のまで盗んでいたのかい? 真由美さん、あの子は体、何をしてるんだい……?」
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私は持参した健司の借入履歴と、私を精神異常者に仕てげようとしていた観察記録のコピーを、静かに義母のに差しした。 義母は老鏡をかけ、震える指で類をめくっていった。
数分、部のに義母の慟哭が響き渡った。
「なんてけない……なんて恐ろしい子なんだ……! 父親がきていた頃からそうだった。見栄を張るために会社のを使い込み、親父に座して穴埋めをさせていた……。反省したとっていたのに、今度は優しい嫁と孫をい物にして……!」
義母はちがり、押し入れの奥くから、古びた呂敷包みを取りしてきた。 から現れたのは、き義父の自の遺言と、自宅の・建物の正真正銘の権利証だった。
「健司はね、実の権利証を自分が握っているとい込んでいる。でもあの子が庫から持っていったのは、親父がに作っておいた古い図面の控えだよ。本物はこれだ」
義母は私のを両で包み込み、涙を流しながら類を押し付けてきた。
「親父の遺言にはね、『健司が再びをれ、庭を壊そうとしたは、全財産を真由美さんと咲良に信託・贈与する』といてある。公正証の確定付印も入っているよ。真由美さん、お願いだ。あの子を……あの怪物を、止めておくれ」
「……お義母さん、ありがとうございます」
勝てる。 確たる物証は、すべて私ののに揃った。
夕方、私は晶子とともに庭裁判所へ駆け込み、咲良の教育信託座の保全続きと、自宅産の処分禁止の仮処分申請を完させた。