"15冊帳簿の専業主婦" 第6話
健司さんはね、あなたを精神無能力者にして実の権利を奪い、を担保に入れて借を本化する気よ。それがダメなら、咲良ちゃんの教育信託千百万円を解約して全額ぶち込むつもりだったのよ!」
あの男の傲な欲望の全貌が、のに晒された。 私を狂に仕てげ、娘の未来の資を奪い、先祖代々のを借の贄に捧げる。
「晶子、庭裁判所に緊急の財産保全と、信託の処分禁止仮処分を申してられる?」
「ええ、この帳簿と偽造の証拠があれば即座にけるわ。今に続きを――」
そのだった。
ブブッ、ブブッ。
私のスマートフォンが、激しく震えた。 画面に表示されたのは、咲良が通う学塾の代表番号だった。
嫌な予が背筋を駆け抜け、私は震える指で通話ボタンを押した。
「もしもし、浅野ですが……」
受話器の向こうから聞こえてきた塾の受付スタッフの焦った声が、私のを劈いた。
『あ、お母様ですか!? 申し訳ありません、先ほどお父様が来られまして……!』
「夫が……? 咲良に何かあったんですか!?」
『はい、「庭の緊急の事で、今付で塾を退会させる」とおっしゃって……見らぬ派な女性の方とご緒に、泣いて嫌がる咲良さんを引にに乗せて連れってしまわれたんです!』
『泣いて嫌がる咲良さんを、引にに乗せて連れってしまわれたんです!』
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塾のスタッフの痛な声が受話器から鼓膜を突き破った瞬、私の全の血液が沸騰した。
「咲良……!」
話を切ると同に、私のスマートフォンがく震えた。 画面にポップアップ表示されたのは、咲良からの震えるようなLINEメッセージだった。
『お母さん助けて。駅のファミレスにいる。お父さんがらない女のと緒に、変なに名と判子を押せって鳴ってくる。怖い、助けて』
添付されていたのは、駅ロータリー沿いにあるファミリーレストランのGPS位置報だった。
「晶子、続きをめて! 私、咲良を取り戻してくる!」 「真由美、無茶しないで! 相は追い詰められてるのよ!」
晶子の制止の声を背に浴びながら、私は相談をびし、駅の雑踏を遮無駆け抜けた。
、健司の嫌を伺い、酷な言葉に耐え続けてきたのは、すべて娘の笑顔を守るためだった。私の尊厳ならいくらでも削り取られても構わない。だが、命を削って育ててきた咲良の未来にその汚いを伸ばすことだけは、神が許しても私が絶対に許さない。
ファミレスの自ドアを押しけ、内の奥へを踏み入れる。 昼がりの閑散としたドリンクバーの脇、ボックス席の奥に、制姿の咲良が縮こまるように座っていた。
その向かいには、腕組みをして酷なを放つ健司。
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そして健司の隣には、派なブランド物のスカーフを巻き、爪をギラつかせた見らぬ若い女が座り込んでいた。
「いいからくんだよ、咲良!」
健司の声が、静かな内にく響いていた。
「おの母親はもう狂ってるんだ! 計を破綻させて、おの学費すら使い込んだ! このままじゃおはにすらけなくなるぞ! だからこの信託の解約承諾にサインして、父親である俺に管理を任せろと言っているんだ!」
テーブルのには、き両親が遺してくれた咲良の教育信託座の解約申請と、朱肉のついた認印が置かれていた。
「嫌だ……! お母さんがそんなことするはずない! 嘘ばっかり……!」
咲良は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、必に自分の学証とペンを胸元に抱きしめていた。隣の女が、苛ちを隠さずに舌打ちをする。
「お嬢ちゃん、往際が悪いですわよ。お父様がこうしてをげて助けてくれようとしているのに、親孝にもほどがありますわ」
女の細い指先が、咲良の細い首を無理やり掴もうと伸びた、その瞬だった。
「咲良に、触るな!」
私の叫びが内に炸裂した。
女の首を、私は渾の力でから叩き落とした。 バチンッ、と乾いた音が響き、女がい鳴をげてび退く。
「な……真由美!?」
健司が息を呑み、子からちがった。その鏡の奥の瞳が、幽霊でも見たかのように見かれる。
GPSで偽装したはずの私が、なぜここにいるのか理解できないのだ。