"母に買った家を狙う婚約者" 第3話
購入価格は決してくなかったが、をく入れ、残りは無理のない範囲で私名義のローンを組んだ。母からは円も受け取らなかった。
「健さんとの事、どうだった?」
母が尋ねた。
「お義母様、マンションのことんでくださった?」
その声は配そうで、それ以に嬉しそうだった。
自分の娘がもうすぐ結婚し、相の族とも穏やかな関係を作っていけると信じている目だった。
私はほんのし迷ってから笑った。
「うん。丈夫だったよ」
嘘だった。
「そう。よかった」
母はしてカーディガンの続きを縫い始めた。
その横顔を見ながら、私は健が初めてこのアパートへ挨拶に来たのことをいした。
玄関をけた瞬、彼はほんのわずかに眉をひそめた。
古い建物の匂い。
狭い台所。
傷のついた柱。
母が何度も貼り直した壁。
健は笑顔を崩さなかったが、帰りでこう尋ねた。
「結婚したら、お母さんはどうするの?」
「1で暮らしてもらうつもり。でも膝が悪いから、もっと暮らしやすい部を探したいとってる」
「うちに来てもらうとかは?」
「それは考えてないよ」
「そうなんだ」
健は目に見えてした。
「うちも母さんが同居は嫌がるとうし。僕たちだけの活はちゃんと守りたいからさ」
当の私は、それを健全な覚だとった。
ところがその数週から、健は々、妙なことを聞くようになった。
広告
「由美って、貯どのくらいある?」
「急にどうしたの?」
「いや、結婚資の目をりたくて」
また別のには、
「退職って結構る会社?」
と聞かれた。
子からも同じだった。
「由美さんの会社、定しているんでしょう?」
「ボーナスはに何回?」
「今までずっとご実暮らしなら、ずいぶん貯まったでしょうね」
私はそれを、息子の結婚相の活力を配しているのだとっていた。
だが今なら分かる。
2がりたかったのは、私がどんな妻になるかではなかった。
私の座に、いくら入っているかだった。
その夜、母が寝たあと、私は自分の部で茶封筒をいた。
にあるのは、枚の写真。
健の部で見つけた類を、スマートフォンで撮して印刷したものだった。
赤い文字で、
《最終通》
とかれている。
そのにある額を見つめるたび、喉の奥がたくなった。
約3000万円。
そして私はまだ、この数字の本当のをらなかった。
類を見つけたのは、での事の3だった。
その夜、私は健のマンションで夕を作っていた。結婚の事分担について話したいと言っていたのに、健は仕事から帰るなり「疲れた」とソファへ横になり、事ができる頃には先に呂へ入ってしまった。
私はゴミ袋をまとめようとした。
その、ゴミ箱の横にくしゃくしゃになったが落ちているのに気づいた。
広告
チラシだとい、拾って捨てようとした。
赤い文字が目に入った。
《》
《宅ローン延滞に関する最終通》
債務者の欄には、
《田島正》
健の父の名があった。
未払いが数か続いていること。
期限までに連絡がなければ法措置へむ能性があること。
そして残債の欄には、約3000万円という数字が並んでいた。
私はしばらくけなかった。
健から聞いていた話と、まるで違う。
正が数に事業を始め、そのうまくいかなくなったことはっている。だが健は、「昔の借は全部理した」と言っていた。
私は通を撮した。
そして元のように折り、ゴミ箱の横へ戻した。
その点ではまだ、健を責めるつもりはなかった。
親に借があるからといって、子どもまで責任を負うわけではない。私だって母に何か事があれば助けたいとう。
問題は、なぜ隠しているのかだった。
翌、私は父がから世話になっていた先へ連絡した。
父と学代の友だったで、父がくなったあとも、相続や母の続きで何度か助けてもらっていた。
先の事務所で事を説すると、先はすぐにこう言った。
「まずつしてほしい。結婚したからといって、相の親の借を自に背負うわけではない」
「では、私には関係ないんですよね」
「原則はね。ただし、君が保証になったり、自分ので返済を引き受けたりすれば別だ」