"残高220円の介護嫁" 第8話
それどころか。
偶数の、国から振り込まれる義母の国民。
ヶ分で約万円という、爪にを灯すような老の活費。
そのの入欄の直にも、全く同じ印字が容赦なく並んでいた。
令 ネツキン +134,220 令 ATM ゴタンダシテン -134,000
「……残、百円」
私の指先が、え切ったので震えた。
義母のすら、健は円単位まで吸いげていたのだ。
々のオムツ代、清拭用の使い捨てタオル、褥瘡を保護する価な医療用テープ、流のとろみ剤。
それらの費用を、私は自分の清掃パートの与——取り万円のから、毎血を吐くいで捻していた。
『美奈子さん、今も母さんの座に万入れてあるから、そこから適当にやりくりしてくれよ。りないなんて言わせないぞ。あんたのパート代なんて、どうせ自分の遣いなんだから』
話でそう言って偉そうにのたまわっていた健の横顔が、鮮に脳裏をよぎる。
あいつは、最初から円も払っていなかったのだ。
払うどころか、けない母親の喉元にストローを突き刺し、国から届く微な血液までみ干していた。
通帳の見きの番ろのポケット。
そこには、枚のい青い複写が挟まっていた。
品川区役所区民課の印が押された、『印鑑登録廃止申請・紛失届』の控え。
広告
届は、の。
届の欄には、震える跡で、義母のサインがあった。
そして備考欄に、担当窓の職員がりきしたメモ。
『本来庁。同居男嫁同伴。実印を親族に無断持された恐れありとのことで、即登録廃止。改印登録は本の体調回復まで保留』
あの。
義母が突然、子ので私のエプロンをく引っ張り、「役所へ連れてってくれ」と涙を流して懇願したのだ。
タクシーを呼び、酸素ボンベを抱えて窓に駆け込んだ。
義母は掠れる声で、窓の職員に何度もをげた。
『息子の健が、私の箪笥を漁っていった。あれに実印を使わせてはいけない。あの子は殺しになる』
職員は同な目で義母を見つめ、迅速に印鑑登録を抹消してくれた。
つまり。
健が現元に持っているはずの、静のあの隷体の実印は、昨のの点で、すでに法な効力を失った「ただの片」に過ぎない。
もし健が、そのにあの印鑑を使って何らかの契約を偽造したり、名義変更の続きをおうとしたならば——その瞬、完全に印私文偽造の罪が成する。
カレンダーの裏にかれていた返済期限。
『15 シントウ 1,200,000』
今の付は、。
次のまで、あと週余り。
健が今分の支払いをどうやって面したのかはらないが、来のには、また百万円の支払いが容赦なくやってくる。
広告
そして彼の背には、あの株式会社都ファイナンスという、の融業者が貼り付いている。
ドスッ。
に、玄関のから鈍い衝撃音が響いた。
属のドアが側からく蹴られたような音。
私は通帳を素く元のビニール袋に戻し、エプロンのいポケットにねじ込んだ。
音を忍ばせ、玄関のタタキへ向かう。
ドアスコープに目を当てた。
歪んだ魚レンズの向こうにっていたのは、作業着を着た見らぬ柄な男だった。
腕には派な刺青が覗き、には型のバールと、黄いメジャーを提げている。
そしてその背で、腕を組みながらタバコを燻らせているのは——健だった。
先ほど追いされたはずの男が、わずからずで、解体業者としきを引き連れて戻ってきたのだ。
「おい、松本さんよ。本当にこの部でいいんだな?」
作業着の男が、ダミ声で健に尋ねる。
煙のを共用廊のに叩き落としながら、健が吐き捨てるように答えた。
「ああ。にあるものは全部ゴミだ。タンスも仏壇も、壊してトラックに放り込んでくれ。に兄貴の嫁だったおばさんが居座ってるが、無していい。鍵を壊してドアをけたら、荷物をに引きずりせ。法占拠者だから、警察を呼ぶなら呼べって話だ」
「へえ、荒な真似は追加料になるぜ?」