"残高220円の介護嫁" 第7話
コインロッカーの鍵でもない。
貸庫のカードでもない。
それは、京都内の公正証役が発した、枚のさな『検索番号受取票』だった。
公正証番号:令 第****号 公証:梨 正義 嘱託:松本 静 件名:遺言公正証
その受取票の余には、義母の震えるで、鉛でこうき殴られていた。
『美奈子へ これを、あの子のでけてはいけない。 あの子がすべてを奪おうとした、最の瞬にだけ、しなさい。 お母さんより』
私はその受取票を指でなぞりながら、静かに目を閉じた。
健。
あなたは、自分がすべてを支配している気でいるのでしょう。
法な相続権を持ち、エリート公務員の肩きを持ち、若い女を侍らせ、れな兄嫁をゴミのように蹴りすことができると信じ込んでいる。
だが、あなたが奪おうとしているその千万円のは、とうの昔に、あなたのの届かない所へと封じ印が押されている。
そして、あなたが背負っている千万の借だけが、確実にあなた自の首を絞める鎖となって残される。
私は受取票を丁寧に元の布テープの奥へと戻し、鏧子の底をしっかりと貼り直した。
そして、座布団をえ、何事もなかったかのようにちがった。
計の針は、午を回っていた。
曜の午、健は必ず、解体業者か産を引き連れてこの部に乗り込んでくるはずだ。
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その、この部の空気は、完全に凍りつくことになる。
私はエプロンを脱ぎ、きれいに折りたたんで台所の流し台の脇に置いた。
荒れた両に、物のハンドクリームを刷り込む。
痛々しく赤く染まった指先が、議なほどく、力く脈打っていた。
曜の正午を過ぎた頃、部のの気温はしずつがってきた。
私は古い換気扇を回し、台所のシンクに向かった。
ステンレスの板には、義母が最に使った吸いみと、薬を溶かすためのさなスプーンが、切り籠のに置かれたままになっている。
蛇をひねると、ゴボゴボと錆混じりの音をててが吐きされた。
私は荒れた両をに浸し、顔を洗った。
たさが、皮膚を突き刺しての芯を鋭く覚させる。
洗面台の鏡に映った自分の顔を見る。
目のにはい青隈があり、頬の肉は落ち、髪は乱暴に本のゴムで束ねられているだけだった。
歳。
誰が見ても、世から見捨てられた「れな未」の顔だった。
健も、あの神崎絵里奈という女も、この顔を見てしたのだ。
文句ひとつ言えず、泣き寝入りして都営宅の片隅へと消えていく便利な負け犬だと。
「……そうわせておけばいい」
私はたいタオルで顔を拭い、洗面台の鏡の裏にある収納扉をけた。
歯ブラシての奥、義母が用していた古い入れ歯洗浄剤の丸いプラスチック容器。
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その底に、いビニール袋に包まれた方形のが隠してあった。
静の、普通預通帳。
磁気ストライプが擦り切れてATMでは読み取りにくくなり、窓でしか記帳できなくなっていた、みずほの古いの通帳だった。
私は洗面台の蛍灯ので、その通帳のページを親指でめくった。
パサリ、と乾いた更の匂いがつ。
最の記帳記録。
そこには、健が親戚同や族LINEで声に主張していた「美談」の裏側が、インクの印字として酷に刻み込まれていた。
令 フリカエ マツモト ケンジ +100,000 令 ATM ゴタンダシテン -100,000 令 フリカエ マツモト ケンジ +100,000 令 ATM ゴタンダシテン -100,000 令 フリカエ マツモト ケンジ +100,000 令 ATM ゴタンダシテン -100,000
毎。
健が万円を座に振り込む。
その履歴をスマホでスクリーンショットし、親族のLINEグループに「今もお袋の施設代のしに振り込みました」と投稿する。
そしてそのの夜、あるいは翌朝の未。
健の自宅マンションから徒歩分の所にある、反田支のATMで、静のキャッシュカードを使って全額が引きされている。
万円を振り込み、万円を回収する。
向けの実績だけを作り、座からいたは実質ゼロ。