"墓前の少女は「娘は生きてる」と言った" 第7話
続きを始めて10ほど経った夕方、初が借へ駆け込んできた。ののに見慣れない男がち、いこちらのを見ていたという。しかも初は、そのにも同じような背格好の男を見た気がすると話した。
咲の顔が変わった。私はすぐ表通りの公衆話へき、以相談した交番へ連絡した。戻ると咲は押入れから旅鞄を引きし、震えるで類を詰め始めていた。
「何してるの」
「私、戻る」
「どこへ?」
「あののところ」
私は娘のからを取りげた。
「私さえ戻れば、ひまりにも初さんにもをさない。お母さんも巻き込まなくて済む」
その声を、私はっていた。7、誰にも相談せず、自分が消えれば全部終わるとったの声だった。逃げたことは違いではなかったが、「自分が犠牲になればいい」という考えだけは、あのから何も変わっていなかった。
「咲。7も、あなたで決めたわね」
娘のが止まった。
「あのは、それしかなかったんでしょう。でも今は違うの。相談員さんもいる、先もいる、警察にも話してある。それなのに、またあなたで全部終わらせるつもり?」
「警察?」
「この、でってきたの」
咲は呆然と私を見た。
「どうして黙ってたの」
「言えば、あなたが自分のせいだとうから」
そこまで言っただった。
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引き戸ので、砂利を踏む音がした。
歩。
また歩。
ゆっくり玄関へづいてくる。
私はちがり、引き戸の内側へつっかえ棒を落とした。咲はひまりを自分の背へ隠すように抱き寄せ、初は堂へ戻って話をかけにった。の音は玄関ので止まり、しばらくすると聞き慣れた男の声がした。
「咲」
7、うちの仏壇ので「お義母さん」と穏やかに呼びかけていた声だった。
「いるんだろう」
咲の体がさく震えた。
私は玄関へづいたが、戸はけなかった。
すると修司は、声の調子だけをし変えた。
「やっぱりきていたんだな」
優しい婿の声ではなかった。
「随分、探させてくれたな」
ひまりは母親の顔を見げていた。にいる男が自分の父親だということも、自分を「ひまり」と呼ぶ声が何をするのかも分からない様子だった。7「ゆき」として暮らしてきた子にとって、その名はまだ自分の名ではなかったのである。
「ゆきちゃん」
私はできるだけ普通の声をした。
「奥のお部で、お形さんと待っていてくれる? おばあちゃん、あとできますからね」
子どもは咲と私を見比べ、そうにしながらも頷いた。襖が閉まるのを待ってから、私は咲へ「ここにいて」と言い、玄関のつっかえ棒をした。交番へは連絡済みだったが、誰かが来るまでがかかる能性もあった。
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引き戸を半分だけけると、夕のに修司がっていた。いシャツに紺のズボンという、私のを訪ねてくると変わらない格好だった。私の顔を確認すると、修司はすぐに柔らかい笑みを作った。
「これは、お義母さん」
その表を見た瞬、私は7騙されていた自分に腹をてるより、妙に静になった。
「修司さん。どうされたの?」
「夫婦の問題ですから、お義母さんには関係ありません。咲を迎えに来ました」
「あなたの奥様は、7にくなったのでは?」
修司の笑みがわずかに固まった。
「何の話です?」
私は持ってきていた類の封筒を取りした。佐々先から受け取った戸籍関係の写しである。
「庭裁判所へ申してて、妻はくなったものとして扱ってもらった。続きをしたのは、あなたご自でしょう」
「だから何ですか」
「くなったを、今になって妻だから連れて帰ると?」
修司の目が細くなった。
しばらく沈黙したあと、彼は声をくした。
「そんなものは類の話でしょう。実際にきてるんだから、俺の妻ですよ。それに、あの子も俺の子だ」
咲がろで息を呑んだ。
修司は玄関へ歩づいた。
「荷物をまとめさせてください。族で帰ります」
「ここから先へは通しません」
「お義母さん、どいてください」
「いいえ」
修司の顔から笑顔が消えた。
私はもうつ封筒を持ちげた。
「咲が残していた記録も、弁護士の先に預けてあります。写真も、病院の類も、記もあります」