"「3人まとめて連れてけ」と年商1200万円の妻" 第15話
佐原さんの「値段はちゃんと言いなさいよ」という言がなければ、私はまだに3万円で引き受けていたかもしれない。
116の曜、納戸で契約の写しを綴じていると廊での気配がした。
ふすまが細くいていた。
みよ子だった。
みよ子が躾に尋ねてきた。
「あんた誰かに払ってるの?」
ち聞きをしていたらしい。
私はキーボードからをした。
「注です。仕事の部をお願いしています」
みよ子が嫌ったらしく言った。
「に払う余裕があるの?」
私はみよ子の方を向いた。
「必な経費です」
みよ子の顔が変わった。
「余裕があるなら、うちにもっと入れなさいよ」
私は静かに答えた。
「入れています」
みよ子はふすまの淵を握った。
「3万じゃりないでしょ、この」
3万円は、みよ子がこのに入れている額だ。
私が入れている額ではないけれど、こののではこのにを入れているのはかずやで、りない分を埋めているのは自分だということになっている。
私は言いかけた。
「お母さん」
このに毎37万円を入れているのは私です、と。
言えば数字が全部ひっくり返る。
みよ子のの物語も、かずやのの物語も。
けれどやめた。
言えばまた3がぶ。
ばしていい3はもうない。
私は線を落として答えた。
「なんでもありません」
みよ子はを鳴らして戻っていった。
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その夜、優馬が納戸に来た。
11だった。
には塾のテキストを持っている。
優馬が声をかけた。
「母さんまだ仕事?」
私は画面から目をして微笑んだ。
「もう終わる」
優馬が壁の計を見げた。
「いね」
私は頷いた。
「うん。にお願いしたから」
優馬がテキストを脇に抱えた。
「副業ってさ、そんなに仕事あるの?」
私は子を回して優馬の方を見た。
8、この子はこの問いを何度かにしている。
その度に私は「ありがたいことにね」と答えてきた。
その夜も分同じ答えで良かった。
でも私は違うことを言った。
「うん。今6社ある」
優馬の目がいた。
「6社」
私は頷いた。
「来からも1お願いした」
優馬が歩部のに入ってきた。
「それ会社じゃん」
私は笑って首を振った。
「会社じゃないよ。個事業」
優馬が笑った。
この子がで笑うのは久しぶりだった。
優馬が楽しそうに言った。
「でも使ってるなら会社でしょう」
優馬はそこでテキストの角で自分の肩を軽く叩いた。
優馬の表がし真面目になった。
「あのさ、俺からってたんだけど」
「何?」
優馬は机のの契約の束を見ていた。
優馬がまっすぐに私を見た。
「父さんがってるより、母さんはいよね」
言われて返す言葉がすぐにはなかった。
私はゆっくりと答えた。
「くはないよ」
優馬が即座に否定した。
「いでしょ。
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8やってんだから」
私は膝のでを組んだ。
「続けてただけ」
優馬は優しく微笑んだ。
「続けるのが1番いんだよ」
優馬は言い終えると、し恥ずかしそうにドアの枠からをした。
「おやすみ」
「おやすみ」
音が階段をがっていった。
私は画面を閉じた。
11に閉じたのは、分8ぶりだった。
台所へくと、ナツキがまだ起きていた。
テーブルで楽譜に鉛で印をつけている。
ナツキが私を見て尋ねた。
「ママ、もう寝るの?」
私は頷いた。
「うん」
ナツキが顔をあげた。
「珍しい」
私は蔵庫をけた。
「そうだね」
ナツキが鉛を置いた。
「なんかあった?」
私は麦茶をコップに注いだ。
「別に。ちょっと楽になっただけ」
ナツキは「ふーん」と言ってまた楽譜に戻った。
それからこちらを見ずに言った。
「ママ、最ちょっと声がでかくなった」
私は驚いて聞き返した。
「きい?」
ナツキは楽譜に丸を1つ描いた。
「うん。はもっとさかった」
自分では分からなかった。
納戸に戻って窓のを見た。
隣のの根が見えた。
その向こうにのかりがあって、1番いところに駅のマンションの赤い灯がついている。
41階建てだと産のにいてあった。
には賃もいてある。
管理費を入れてに28万円。
初期の費用は敷が2ヶ分で56万円。
礼と仲介の数料と賃がそれぞれ1ヶ分の28万円ずつ。
保証会社の分が12万円。
締めて152万円。
引っ越しの費用25万円と見て177万円。
私の座からせる額だ。
私はそこに4でむ自分たちを像してみた。