"27年目、妻は食卓を捨てた" 第3話
美子がになって活が乱れているのに、その原因を自分たちの依ではなく、妻のわがままだと考えていた。
「放っておけば戻ってくる。あいつは俺のがなきゃ活できないんだから」
そう言うと、孝志はスマートフォンを操作した。美子が料品や用品の購入に使っていた族カードを止し、活費用座についても自分だけが管理できるよう続きをした。
加代はそれを聞いて、「そうした方がいいわ」と頷いた。
「ホテルに泊まるにもおは必だもの。し困れば、自分がどれだけ恵まれていたか分かるでしょう」
孝志はさらにメッセージを送った。
《族カードは止めた。活費も俺の許なしでは使えない。を張るのをやめて、謝って帰ってくるなら今回だけは許す》
文章を読み返し、満そうに送信した。
階段の途にいた彩佳は、その会話を偶然聞いていた。父親が母親を「がなければ何もできない女」と決めつけていることに、これまでじたことのない嫌悪を覚えた。
昨夜から、彩佳は母のが気になっていた。幼い頃、をすと枕元にスポーツドリンクが置かれ、学で嫌なことがあったは好物のスープがてきた。そんなことを、母親だから当然だと考えたままになっていた。
仕事へる、彩佳は台所へ入り、蔵庫の横にあった献表を探した。
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もしかすると、母がどこかへ移しただけではないかとったのである。
そこで、シンクの引きしがしいていることに気づいた。
にはレシピ、計簿、スーパーのチラシなどが理されていた。その奥に、見覚えのない茶のノートが冊置かれている。
表には、美子の字でこういてあった。
《族のこと》
彩佳はためらいながらに取った。母の記を勝に読むような気がして度は戻しかけたが、その、ノートのからい封筒がへ落ちた。
封筒には所の介護施設の名が印刷されていた。
母がパートで働いている職だった。
表には赤い文字で、《類 》とある。
彩佳はしゃがみ込み、封筒を拾った。すでに度封されているようで、糊は剥がれている。
父は昨夜、「母さんはパートしかできない」と笑っていた。
けれど、封筒の端からのぞいていた類には、彩佳が像もしなかった文字が見えていた。
《常勤職員登用に関する――》
そのに、もう枚のが挟まっている。
そこには母の名と、しく作られた座の番号が記されていた。
「……お母さん、これ何?」
彩佳は誰もいない台所で呟いた。
さらにノートをくと、最初のページの付は、母がをる何かもになっていた。
昼休み、彩佳は派遣先の休憩で「族のこと」
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とかれたノートをいた。母の私物を持ちした罪悪はあったが、昨夜まで「しっているだけ」と考えていた自分たちが、本当に何もらないのではないかというの方がきかった。
ノートは記ではなかった。
《312 彩佳、仕事で嫌なことがあったみたい。夕飯はトマトと野菜の温かいスープにする。無理に聞かず、し元気になったら話を聞こう》
《415 翔太、残業続き。顔が悪い。お弁当はニンニクと豚肉のおかずを入れる》
《620 お義母さん、血圧がめ。塩分を控える。来週は薬の補充》
《112 匠、から試験。夜は胃にもたれないうどん》
ページをめくるたび、彩佳は言葉を失った。毎何気なくべてきた料理のつつが、そのの族の状態を見て作られていたことが分かる。
孝志についてかれた記録もかった。
《最また胃が痛いと言っている。本は丈夫と言うけれど、しばらく揚げ物を減らそう》
《健康診断で注されたのに、お酒を減らせていない。言うとるので、料理でしでも調できればいい》
母は料理を作っていただけではなかった。
族全員の体調、予定、気分の変化を、で見続けていた。
彩佳の目から涙が落ちた。
ところが、ノートの半に入ると内容が変わっていった。
《最、卓で誰とも目がわない。
私が話しかけてもテレビかスマホを見ている》
《お義母さんにがいと言われた。