"年収400万円の総務担当と6000万円の顧問契約" 第7話
「昨、鈴社が林部に、あなたに戻って来て欲しいってこっそり相談してたの。でも渡辺副社が猛反対してる。もし社がどうしても彼女を呼び戻すというなら自分が辞めるって」
私は静かに聞いていた。
「それで?」
彼女はため息をついた。
「だから社は迷ってるのよ。収数千万の副社と、収400万の総務担当。どっちを取るか秤にかけてる」
私はエレベーターのボタンを押した。
「さん、配しないで。もう戻る気はないから」
ドアが閉まる直。
廊の突き当たりで、渡辺カイトがこちらをじっと見ているのが見えた。
彼の表はまるで解雇した部を見るものではなく、厄介な何かを見るような、そんな目だった。
に帰り、私は決断した。
さんに話をかける。
彼がすぐにた。
「さん、ご提案の件、考えがまとまりました」
彼は興そうに相槌を打った。
「ほう」
私ははっきりと伝えた。
「お受けします」
彼は嬉しそうだったが、私は言葉を続けた。
「ですが、契約条件を1つだけ変更させていただきたい」
彼は静に答えた。
「聞きましょう」
私は自分の条件を提示した。
「利益のインセンティブは、利益2000万円からではなく、1000万円からにしてください」
彼はし沈黙した。
私は自信を持って言った。
「自分の腕には自信があります。ちげにそれほどはかかりません」
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話の向こうで、彼は数秒黙っていた。
そして、笑いながら言った。
「交渉成だ」
彼は話題を変えた。
「ちなみに、最初のクライアントはもう見つけてある」
私は尋ねた。
「どちらです?」
彼は楽しそうに答えた。
「商事ですよ」
さんの言葉に、私は瞬息をんだ。
「さん、冗談ですよね。私はついさっきまでそこにいたんですよ」
彼は真剣な声に戻った。
「ここからてきたばかりだからこそ、誰よりも彼らの問題点を正確に把握している。違いますか?」
彼は続けた。
「それに今の彼らは、部のコンサルタントにめちゃくちゃになった社内をて直して欲しいと切実に願っているはずだ」
私はし考えてから言った。
「ですが、この案件、私は表にはません。クライアントとのやり取りはそちらでお願いします。私は裏方でプランを作成します」
彼は満そうに笑った。
「分かってる。あなたはただのプロじゃない。なかなかえげつないね」
話を切った、私はパソコンをき、しい企画を作り始めた。
タイトルは『商事株式会社オペレーションシステム診断及び再構築プラン』。
のコンサルタントなら、調査だけで3ヶはかかるだろう。
だが、私なら3でける。
なぜなら、そのシステムは、何を隠そうこの私が作ったのだから。
翌の午、企画をいていると玄関のチャイムが鳴った。
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ドアをけると、そこには初老の男性がっていた。
50代半だろうか、髪の混じった髪。
には級そうな果物の籠をげている。
商事の社、鈴健だった。
彼は申し訳なそうにをげた。
「佐藤さん、突然すまないね」
私は驚きを隠して言った。
「社、どうして……」
彼は苦笑した。
「私がここに来たか、分かっているだろう」
私は彼をリビングへ通し、お茶をした。
「会社に戻ってきてほしいというお話でしょうか?」
彼はく頷いた。
「そうだ」
私は静かに首を振った。
「申し訳ありませんが、そのつもりはありません」
彼はお茶にをつけようともせず、カップを持ったまま言った。
「君がそういうだろうことは分かっていた。だが、それでも直接顔を見て話したかった」
彼は私を見つめた。
「君が12もこの会社にいてくれたのに、私は君がこれほどの仕事をしてくれていたことに全く気づいていなかった」
私は黙って線を受け止めた。
「はい。社はごありませんでした」
彼はくため息をついた。
「これは私の管理き届きだ」
彼は自嘲気に笑った。
「君がいなくなってからこの1週で、社内で19件の問題が起きた。そのうちの7件は、これまで誰かが対処してくれていたことすら私が把握していなかった問題だ」
彼は具体な例を挙げた。
「今なんか、技術部が、佐藤さんがExcelで作ったプロジェクト管理ツールがだけどすごく使いやすかった、今は誰もメンテナンスできなくてプロジェクトの捗がぐちゃぐちゃだ、と泣きついてきてね」