みかん小説
本棚

"最終列車で消えた18歳" 第10話

それなら、今の子どもたちが何かを諦めずに済むよう使う方がよい。

は学習の相談員となった。

苗は滋賀県から絵本を送り、美紀の勤める子ども堂も教材を寄付した。

坂は、録音で自分の為を認める証言を残した。匿名のき、検査結果を隠したこと、父娘へ異なる内容を伝えたことを説した。

と久美子はすでにくなっている。

誰も法な裁きを受けることはなかった。

それでも町の広報誌とは、35の記事を訂正した。

《最終列で姿を消したとされた片桐美紀さんは、列に乗していなかった。学をめぐる庭内の問題からに町をれ、そのの誤った伝達により帰郷できない状態が続いていた》

美紀は記事ので、父を悪としてかないよう求めた。

に、「娘をうあまり学に反対した父」という美談にすることも拒んだ。

「父は私をしていました。でも、しているから私のを決めてよいとった。その違いは、があったという言葉では消えません」

記者は、その言葉をそのまま記事にした。

学習かれた最初の、杉町には昭63の廃線と同じような細かなっていた。

利用者は5しか来なかった。

が3学3が12女が1。子どもたちは最初、元駅舎のを珍しそうに歩き、切符売り窓から顔をして遊んだ。

広告

女は、ほかの子どもが帰ったあとも席に残った。

「相談してもいいですか」

美紀が隣へ座ると、女は鞄から専の案内を取りした。

名古にある飾学だった。

では、町のスーパーへ就職しろと言われています。専きたいと言ったら、そんな仕事でべられるわけがないって」

女は母子庭で、学費の負担を配していた。母を困らせたくない方、町に残れば悔する気もしていた。

「親に反対されたら、黙ってていくしかないんでしょうか」

35の自分なら、どう答えただろう。

美紀は町をたことで、自分の活を作ることができた。あのとき父に従っていれば、学だけでなく、町ので働く会も失っていたかもしれない。

それでも、誰にもき先をらせず消えることが正しかったとはわない。

美紀は奨学資料、学寮の申請、学の相談窓かれたを机へ並べた。

で消えなくていい。まず、あなたが何をしたいのか、自分の言葉で説できる所を緒に作りましょう」

「お母さんが話を聞いてくれなかったら?」

「そのときは、学の先や相談員にも入ってもらえばいい。お母さんにも配している理由があるでしょう。でも、配することと、あなたの代わりに決めることは同じではないから」

広告

女は案内を鞄へ戻さず、机のに置いた。

次の週、母親と緒に相談へ来ることになった。

夕方、子どもたちが帰ると、旧駅は静かになった。

ホーム側の窓からは、線の撤されたが見える。かつて列った所にはえ、代替バスの留所だけが残っていた。

がガラスケースのへ、最の列券を置いた。

美紀の名かれた、鋏の痕のない切符だった。

「この切符を見て、姉さんは悔しますか」

美紀はし考えた。

「列に乗らなかったことは悔していません。あのまま父の言うとおりにしていたら、私は自分のを選べなかったとうから」

美紀はガラス越しに切符を見つめた。

「でも、消える方法しか選べなかったことはしいです。父と話しうために、もっとを頼ることができたかもしれない。父にも、扉をける会は何度もあった」

「私たちは族になれますか」

が尋ねた。

美紀はすぐには答えなかった。

会ってからまだ数かしかたっていない。直は父と30暮らし、美紀にはその記憶がない。美紀は父を待った35き、直にはその痛みを完全に理解することはできない。

族にならなければいけない、とはわないようにしましょう」

美紀は穏やかに答えた。

「会いたいときに会って、話したいことを話す。

それを続けたあと、何と呼ぶか決めればいいんじゃない?」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: