"最終列車で消えた18歳" 第9話
しかし目のにいるのは、目元に細かな皺があり、髪にいものが混じった53歳の女性だった。
それでも、信によく似ていた。
「片桐直です」
直が名乗ると、美紀はしを置いてをげた。
「初めまして。あなたのことを、弟だとっていいのか分からないまま、ずっとおだけ送っていました」
「私も、姉さんがどんなからないまま、族を捨てただとっていました」
2は無理に笑わなかった。
初対面で抱きえるほど、単純な関係ではない。美紀は直を父の再婚相の子だとい、直は美紀を自分が引き取られる原因となったの娘だとじていた。
互いの誤解を作ったのは周囲のだったが、それでも35の距はすぐには消えない。
旧駅は解体事が断され、待だけが残されていた。
美紀は入のでを止めた。
「ここです」
昭63514、美紀が父を待った所だった。
子は腐し、磨砂ガラスの部も割れていた。壁からされた伝言板の跡だけが、角くの違う形で残っている。
直は鉄箱を机へ置いた。
最初に親子関係の検査結果を渡した。
美紀は類をゆっくり読み、何度か同じへ目を戻した。
「私は父の子だったんですね」
「父は、失踪から2かにはっていました」
「それでも、何も言わなかった」
美紀の声にはりより疲れがにじんでいた。
広告
次に、12通の未送付のを見せた。
美紀は自分の跡を確認し、封筒の端を指でなぞった。
「久美子叔母さんは、父が読んだと言っていました」
「1通も届いていません」
美紀は目を閉じた。
「叔母さんは私を助けてくれました。あのがいなければ、町をられなかった。でも、戻ることまで止めていたんですね」
直は信の信片を最に渡した。
《おが来なかったのではない。会わなかったのは父さんだ》
美紀は読み終えても泣かなかった。
い、信片を膝のに置いていた。
「父が待まで来ていたことはりませんでした。私は10まで待ちました。列がらないから、駅は本当に静かでした」
「父もにいました」
「扉枚だったんですね」
「はい」
美紀は待の扉を見た。
「父がくなったと聞いたとき、しくありませんでした。もう会えないことより、度も会いたいとわれなかったことの方が、ずっとからしかった」
しかし父は会いたいとっていた。
会いたいといながら、謝罪を拒絶されることを恐れた。自分の過ちを認めれば、駅としても父親としても築いてきたが崩れると考えた。
そのをったからといって、美紀の35が戻るわけではない。
「父を許せますか」
直が尋ねると、美紀は首を横に振った。
「今は分かりません。くなったから許さなければならないともいません。
広告
でも、父が度も来なかったという記憶だけは、今訂正します」
美紀は直の通帳も確認した。
毎3000円を振り込んだ理由について、恥ずかしそうに笑った。
「あなたが父のしい子なら、私のことで自由をしてほしくなかったんです。私の代わりにされた子なら、なおさら何かを諦めてほしくなかった」
「私は、そのおを使っていません。父が通帳をらなかったので、鉄箱のに残ったままでした」
「それなら、これから使いを緒に考えませんか」
初めて、美紀は直をまっすぐ見た。
姉弟として暮らしたはない。
それでも、これから何をするかは2で決めることができる。
旧杉駅は、民の望によって待と駅だけが保されることになった。
全面保に必な費用は集まらなかったが、柱を補し、さな域交流施設として使う計画がてられた。
美紀は名古での仕事を辞めなかった。
に2度だけ杉へ戻り、旧駅で子ども向けの学習をくことにした。学の宿題をする所としてだけでなく、学や就職について庭以のへ相談できる所にしたいと考えた。
直は、美紀が積みてた通帳のを、机や籍、の器具の購入に使うことを提案した。
美紀も同した。
通帳には直の卒業までとかれていたが、使われなかったを過へ返すことはできない。