"最終列車で消えた18歳" 第8話
姉は族を捨てていなかった。
会ったことのない弟のために、18、毎しずつを残していた。
信の遺品は、直が度理していた。
それでも美紀の部だけは、父の希望でをつけていなかった。机、箪笥、本棚には、昭63当の品が残っている。
直と澄は、改めて部を調べた。
机の番の引きしには、古い駅の絵葉が数枚入っていた。鷺線の梁、の杉駅、材を積んだ貨物列。信が駅員代に集めたものだった。
そのに、宛名をきかけた1枚があった。
《名古区――片桐美紀様》
所は途で途切れている。
裏面には、信の字で文章がかれていた。
《あの夜、待の扉をけられなかった。おが来なかったのではない。会わなかったのは父さんだ》
消印はなかった。
信もまた、美紀へをきながら送れなかった。
別の引きしからは、浦医師が渡した親子関係の検査結果と、文のが見つかった。
《信さんへ。
あなたは事故のあと、自分には庭を持つ資格がないと言いました。でも私は、あなたと暮らしたいとって結婚しました。
美紀はあなたの子です。疑われたから証したのではありません。いつかあなたが事故のことを責めず、美紀の父であることをしてべるよう、浦先に確認をお願いしました》
信は真実を35保管していた。
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それでも町の々には、美紀が自分を捨てたと話し続けた。
直は父のことを、単純な被害者とも加害者とも考えられなくなった。
信は美紀をしていた。妻の、苦労して育て、学も応援した。その方で、通の匿名によってを疑いへ変え、娘の入学を勝に取り消した。
誤解が解けたあとも、過ちを認めるより自分の評判を守った。
さらに直を引き取り、美紀の代わりのように扱った。
「父は、私を本当に族だとっていたのでしょうか」
直が尋ねると、澄はすぐに答えなかった。
「それは信さんにしか分かりません。でも、族だとっていたことと、あなたを傷つけたことは両します」
信は直を養子にしたあと、学事へ必ず席した。をせば仕事を休み、学の費用も用した。
しかし美紀と比べる言葉で、直にい傷を残した。
があったという理由で、その傷をなかったことにはできない。
同に、傷つけられたからといって、過ごしたのすべてが嘘になるわけでもなかった。
直は父の信片を、美紀へ渡すことにした。
鉄箱にあった最のには、美紀の勤務先だった幼児用品の旧所がかれている。はすでに閉していたが、法登記を追うと経営者の息子が県内で子ども堂を運営していた。
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問いわせると、そこに片桐美紀という女性が勤めていることが分かった。
53歳。
結婚歴はなく、現も同じ名字を使っていた。
直は話をかけようとして、何度も受話器を置いた。
父や久美子と同じように、拒絶されることを恐れていた。
それでも、連絡するかどうかを自分だけで決めてはいけないとった。美紀には、真実をり、会うかどうか選ぶ権利がある。
直はをいた。
《片桐美紀様。
私は、信さんの養子となった片桐直です。あなたの代わりになるためにへ来たとっていました。
しかし、あなたが私のためにおを残していたことをりました。
旧杉駅から、あなたの受験票とが見つかりました。信さんが保管していた資料もあります。
会いたくなければ、そう返事をください。資料だけを送ることもできます。どうするかは、美紀さんに決めていただきたいです》
1週、返事が届いた。
便箋には、い文だけがかれていた。
《杉駅で会いたいです。今度は、扉ので帰らないでください》
美紀が杉町へ戻ったのは、鷺線廃止から35と3かのことだった。
梅のがる午、旧駅に1台の線バスがまった。鉄廃止に作られた代替バスで、1に4往復しかっていない。
美紀は紺の傘を差し、さな鞄を持ってりてきた。
直は、写真のの18歳の女を像していた。