"最終列車で消えた18歳" 第7話
しかしがたつほど、真実を話せなくなった。
美紀を列から消えたように見せかけたのは久美子だった。その事実がらかになれば、兄との関係も、町での信用も失う。
久美子は美紀へ、信はまだっているといた。
信へは、美紀から連絡がないと伝えた。
父と娘が同じ扉の両側にちながら会えなかった夜は、そのも形を変えて繰り返された。
鉄箱に残されていた12通のは、すべて美紀が信へいたものだった。
消印はなく、封筒の表には杉の自宅所が記されている。最も古いは昭636、最のは平成411の付だった。
美紀は久美子へを預け、父に渡してほしいと頼んでいた。
《お父さんへ。学にはけなくなりました。でも、幼児用品で働いています。さんは厳しいけれど、む所も用してくれました》
《お父さんが胃の薬をきちんとんでいるか配です。畑の胡瓜は、朝にをやりすぎないでください》
《私が親孝だったとっているなら、その理由を直接聞きたいです。私はお父さんを捨てたつもりはありません》
はとともにくなり、何度も面会を求めていた。
それでも1通も信へ届かなかった。
久美子は平成5、病気で入院した。自分の余命がくないとり、と証拠を鉄箱にまとめた。
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駅の伝言板の裏へ隠したのは、いつか美紀か信が見つけることを期待したからだった。
しかし誰にも所をらせなかった。
最まで、自分のから真実を話す勇気を持てなかったのだ。
「久美子さんは、美紀を助けただとっていました」
直が言うと、澄は静かに首を振った。
「助けたことは事実です。でも、それがそのの隠し事を正しくするわけではありません」
久美子は、若いころに自分の学を族に妨げられた。だから美紀には自由なを歩ませたいとった。
方で、兄と姪が自分のらないところで解することを恐れていた。
美紀を守るという役割がなくなれば、自分のに何も残らないようにじたのかもしれない。
善と執着は、いつのにか区別できなくなっていた。
鉄箱の預通帳は、美紀名義で昭641に設されていた。久美子が代理として続きをい、毎3000円ずつ入している。
美紀が学学のために借りる予定だった奨学の返済額とほぼ同じだった。
しかし美紀は学へ入学していない。返済すべき奨学もしなかった。
通帳の最には、《直の卒業まで》とかれていた。
直が片桐へ来たのは、美紀の失踪から3だった。美紀は名古にいながら、直のをっていたことになる。
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久美子のを調べると、美紀へ送った便箋のきが1枚残されていた。
《兄さんは、直という男の子を引き取った。美紀が帰らない寂しさから、再婚した相との子をへ入れたのかもしれない》
内容は事実と異なっていた。
信は再婚していない。直は製糸の元従業員の遺児で、信と血縁関係もなかった。
久美子は病状が悪化し、詳しい事をらなかった能性がある。それでも、確かめないまま美紀へ伝えていた。
美紀は、直を父のしい妻との子だとい込んだ。
「私がいたから、姉は戻らなかったのでしょうか」
直がつぶやくと、澄はい調で否定した。
「あなたの責任ではありません。あなたもたちの説でを決められた子どもです」
直は幼いころから、美紀が族を捨てたと聞かされてきた。美紀は直が自分の代わりとしてまれた父の子だとっていた。
会ったことのない2は、互いのによって自分の帰る所がなくなったと考えていた。
だが、それはどちらも事実ではなかった。
通帳の入は、久美子がくなったあとも続いていた。
振込は美紀だった。
直がを卒業した平成133、最の3000円が入されている。
美紀は自分が帰れば、しい族である直の活を壊すとっていた。それでも、父のに迎えられたが、自分と同じように学を諦めないで済むようを送り続けた。
直は通帳を閉じた。