"最終列車で消えた18歳" 第4話
それでも、久美子が鉄箱を伝言板の裏へ隠した能性はかった。駅舎の裏の鍵を持ち、信にられず内部へ入ることができたからだ。
「美紀は父親を捨てるつもりだったんですか」
直が尋ねると、苗は首を横に振った。
「名古で入学続きを済ませたら、必ず戻って話すと言っていました。お父さんに自分で暮らせることを証したかっただけです」
美紀は最初から永に消えるつもりではなかった。
父に追い戻されないため、数週だけ方を隠す計画だった。
苗は最に、久美子から聞いた言葉をいした。
「信さんが学へ入学辞退届をしたあと、美紀は度、杉へ戻っています」
「いつですか」
「昭635。旧駅の待で、お父さんと会うことになっていました」
信は美紀がきているとっていた。
しかも、娘と会う約束の所まで来ていたという。
美紀が格した直まで、信は娘の学を応援していた。
に残る相談記録には、信が3度も学へを運び、奨学や学寮について質問したことが記されていた。
《母親のいない子だからこそ、本の好きなを選ばせたい》
面談用の保護者見欄には、信自の字でそうかれている。
それが218の面談を境に変わった。
信は学学を認めないと告げ、信用庫への推薦状を用するよう澄へ求した。
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「何があったのか聞いても、の問題だとしか答えませんでした」
澄は当を振り返った。
鉄箱に残された資料のに、その理由を示すものがあった。
県病院が昭45に作成した診断だった。患者名は片桮信。鉄作業の事故で骨盤付を負傷し、医師から今の殖能力に響がる能性を説されたとかれていた。
事故の2、美紀がまれた。
もう1枚の封筒には、文が若い男性と並んでつ写真が入っていた。所は温泉旅館の玄関で、写真の裏には昭46の付がある。
男性の名は浦誠。
文が結婚に交際していた県病院の医師だった。
信の机に匿名のが届いたのは、美紀が学に格した翌だった。
《18、の子を育てた気分はどうですか》
には、文と浦の写真が同封されていた。
さらに、文が妊娠初期に何度も浦の勤務する病院を訪ねていたという記録もかれていた。
信は、娘が自分の子ではないとい込んだ。
文は8にくなっており、問いただすこともできない。信は抱えていた事故への劣等と、妻に裏切られたという疑いを、娘へ向けるようになった。
「おに使ったを返すまで、勝なを選ぶ資格はない」
発の3、信は美紀にそう告げた。
美紀には、父がなぜ突然自分をのように扱うのか分からなかった。
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信は匿名のについて説せず、ただ学を諦め、町に残るよう命じた。
久美子は兄の変化に気づいた。
彼女は美紀に、父が何か誤解している能性があると話し、まず名古で入学続きを済ませるよう勧めた。
「入学を確定してしまえば、兄さんも取り消せない。落ち着いたあと、私がに入るから」
久美子自、若いころに名古の護学へ格していた。しかし両親が入学を返還してしまい、祖父母の介護を理由に町へ残された。
そのは片倉製糸で働き続け、結婚もしなかった。
「私は族をんでいるわけじゃない。でも、自分で選ばなかったは、になって誰のせいにもできないの」
久美子は美紀にそう話した。
美紀は計画どおり名古へき、久美子の友宅にを寄せた。44には青葉期学を訪れ、失踪事件について説した。
学側は本確認をい、美紀に入学のがあると記録した。学費についても、4末まで納付を待つと約束した。
ところが46、信の署名と印鑑がある入学辞退届が郵送された。
当、美紀は未成だった。学側は保護者の署名がある類を優先し、入学続きを取り消した。
美紀が異議を申してたときには、すでに別の補欠格者が入学を納めていた。
信は娘のを守ろうとしたのではない。