"50件のSOSと愛人親子に回した救助車" 第21話
「パパが……悪かった」
数メートルれた墓から戻ってきた幸恵も、くでのに崩れ落ちている武史の姿を見た。
瞬、彼女のが止まる。
彼が何を聞いているのかは分からなかったが、に落ちたスマートフォンと泣き崩れるその姿を見て、おぼろげながら察しがついた。
以の幸恵なら、駆け寄っていたかもしれない。
どんなに憎んでいても、1で泣かせておくことはできなかっただろう。
しかし彼女は、バッグのに入っている勇気のさな片方だけの袋をそっと握りしめると、再び歩きした。
武史のしみは、これから彼自で背負うべき代償だった。
幸恵が入りを通り過ぎようとした、武史が顔をげた。
涙とでその顔は無惨に歪んでいた。
彼は彼女を呼び止めようとをいた。
「幸恵」
彼女がち止まった。
武史は何かを言おうとしたが、結局どんな言葉も見つけられなかった。
許して欲しいという言葉も、すまなかったという言葉も、自分も苦しいという言葉も、全てがあまりにも遅すぎた。
幸恵は数秒彼を見つめた、静かに言った。
「今は、勇気にだけ謝って」
そして背を向けた。
武史は追いかけなかった。
自分にはもうそのろ姿を追う権利すら残されていないことを、いっていたからだ。
幸恵はのるを1で歩いていく。
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1度も振り返らなかった。
胸の真んには、未だに決して埋まることのない空洞があった。
だがその空洞を、もう2度と違った結婚というで埋めようとはわなかった。
彼女がこれから守るべきものは、すでに壊れてしまった族の形などではない。
彼女自がを向いて歩んでいくしいだった。
武史はそのもい、霊園の入りののに座り込んでいた。
にまみれたスマートフォンのの、11秒のファイルは止まったままだ。
世界で1番級なも、グループのトップという1番い子も。
彼がにしていたどんな権力も、この11秒にを巻き戻すことはできなかった。
かつて彼は、や権力で解決できない問題などこの世にはないと信じていた。
遅れたらで補償すればいい。傷つけたら価なプレゼントを買えばいい。
違った決定は、でもっと良い決定できすればいいと。
しかし、勇気は2度と戻ってこない。
その、川武史はついにったのだ。
この世界には、どんなに莫な富を積んでも、2度と受け取ることのできない話があり、どんなにい悔の涙を流しても、2度と聞くことのできない返事があるということを。
に埋もれたスマートフォンから、ふいに勇気の最の声がもう1度だけ流れした。
『パパ……』
武史はくを垂れた。
そしてそのも、それからの数えきれないほどの々も、そのさな呼びかけに答えてくれるは、もうこの世界のどこにもしなかった。