"50件のSOSと愛人親子に回した救助車" 第8話
わざわざ救助両を留め置く必はないというだった。
しかし隣で里奈が、配そうな顔で蒼太のマフラーを直していた。
彼女は武史を見げた。
「もしまたが閉鎖されたらどうするの?蒼太が寒さにいことってるでしょ?」
武史は結局、秘にこう命じた。
「そのまま待させろ」
その、蒼太が武史のコートの裾を掴んで尋ねた。
「おじさん、僕ら今おうちに帰るの?」
里奈の顔がまたくなる。
「蒼太」
息子はきょとんとしている。
「だってママが言ったじゃん。昔はおじさんって呼びなさいって」
里奈は慌てて息子の言葉を遮った。
「まだ寝ぼけてるのね」
武史は妙な表で2を見つめた。
だが、それ以は聞かなかった。
問い詰めた瞬、自分が聞きたい答えではないものが返ってくるかもしれないというがあったからだ。
彼はいつも、真実よりも自分にとって都の良い能性の方を選んできた。
そのの午、勇気の容態は急激に悪化した。
息を吸うたびにさな胸が苦しそうにする。
言葉の終わりが何度も途切れる。
幸恵はもう待てないと判断した。
息子を背負ってでもにる準備をした。
だが、消防隊員は話越しにく制止した。
「絶対にかないでください」
隊員は説した。
「界がほとんどなく、が腰のさまで積もっている所もあり、にけば端で倒れる危険性がいです」
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幸恵はついに、玄関のに座り込んでしまった。
これまでどんな問題も1で解決できると信じてきてきた彼女。
それが初めて、自分では何もできないという現実に閉じ込められた。
そしてその絶望ので、再びスマートフォンの画面を点灯させた。
1番には武史の名があった。
彼女はしばらくその名を見つめていたが、話はかけなかった。
代わりに、留守番話の録音ボタンを押した。
「武史さん……」
最初は声がなかった。
幸恵は唇を噛みしめ、もう1度話し始めた。
「このメッセージをいつ聞くか分からない。でも勇気がずっとあなたを探してるの」
彼女は涙を拭った。
「私に腹がってるなら、でいくらでも鳴ってくれていい。でもどうして、あの子のことまで無したのか、私にはもう分からない」
彼女は呼吸置いた。
「もし私たちに何かあったら、今あなたがどんな選択をしたかだけは、絶対に忘れないで」
メッセージを保し終えた幸恵は、その初めて武史に何かを頼むのをやめた。
2目の夜が来た。
勇気はもう、ほとんど話すことができなくなっていた。
幸恵は息子を胸にく抱きしめ、何度も名を呼び続けた。
「勇気、ママを見て。目を閉じちゃだめ」
「ママ……」
「うん、ここにいるよ。おばあちゃんもここにいるからね」
幸恵の目に涙が溢れた。
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息子がにしたおばあちゃんとは、この荘の元の持ち主だった。
幸恵の母のことだ。
幸恵は泣きながら微笑んだ。
「そうよ、おばあちゃんも勇気のことを配してずっと見ててくれてるわ」
「じゃあ怖くない」
「ママもいるじゃない」
「うん……」
勇気はしばらく息をえると、とてもさな声で尋ねた。
「パパは、いつ来るの?」
幸恵は喉が詰まった。
彼女は答える代わりに、息子のをく、く握った。
しばらくして、勇気が自分からスマートフォンを指差した。
「パパに、僕がやってみる」
幸恵は瞬躊躇ったが、最の望みを託して画面をつけた。
息子がさな指で、パパの名を押す。
聞こえてきたのは、やはり源が切れていることを告げる無質なアナウンスだった。
勇気はしばらく画面を見つめていた。
やがて、留守番話のボタンを押した。
「パパ……」
その声はあまりにもさく、ノイズに紛れて消えてしまいそうだった。
息子は次の言葉を続けようとした。
だが、突然激しく咳込み、そのからスマートフォンが滑り落ちた。
録音は、そのたった言だけを残して止まった。
幸恵はに落ちたスマートフォンを拾いげた。
これがやがて武史のに残ることになる、息子の最の声になるとは像もしていなかった。
救助隊が荘に到着したのは、翌の朝だった。
くから聞こえるエンジン音と々の叫び声が、最初は聴だとった。