みかん小説
本棚

"祭り食堂の逆襲" 第9話

と、受付でに申し入れたのだ。

取り次いだ社員が奥の社へ消え、しばらくして戻ってきた。

社員は枚のメモ用を差しした。

「社からの伝言です。曜の午、こちらでお話ししたいそうです」

がメモを受け取ると、そこにはと、とある所だけが記されていた。

曜の午

は、岩田、、そして瀬川の3を連れ、社用で指定された所へと向かった。

カーナビが示した目に到着し、りた

岩田は、その所を見て臓が止まるかとった。そして、そのに釘付けになり、歩もかなくなった。

古びたアーケードの端。褪せた簾。

「祭り堂」

まさかとったが、簾の文字は違いなかった。

を先に、引き戸をガラガラとけると、昼がりのは静まり返っていた。

カウンターの奥には女将のけい子がち、客席の奥のテーブルには、男が1だけ座って茶をんでいた。

焼けした逞しい首筋。紺の作業着。

岩田はハッとした。覚えている。あの再発の現で、自分が邪魔者扱いして暴言を吐いた、あの男だ。

(なんで、こんなところに請けの職が……?)

岩田がそうった瞬

が、その「職」の男を見るなり、岩田の言葉を遮るようにた。そして、スーツの皺も気にせず、々と90度げた。

広告

「柏。この度は、弊社の際により、誠に申し訳ありませんでした」

その言葉を聞いた瞬、岩田の顎がれそうにき、いたまま完全に止まった。

目のに座る作業着の男。

拓也、45歳。

建設の代表取締役社、そのだったのだ。

拓也は、座ったまま静かにを見据えた。

が顔をげ、必の形相で問いかけた。

「なぜ、うちと組んでいただけないのでしょうか? どうか、理由を……理由だけでもお聞かせいただきたい」

拓也は、ゆっくりと湯呑みをテーブルに置いた。

「うちの職が、若い頃からこのの世話になっています。先代の女将さんの父親の代からです」

拓也のく落ち着いた声が内に響いた。

「その切なに、貴社の社員が何をしたか、ごですか?」

は完全に戸惑った顔をした。

「何のことでしょうか……?」

拓也は、岩田の方をチラリと見てから言った。

話1本で、当の50の予約を取り消したそうです。理由も名乗らず、で笑いながら」

拓也はに向き直った。

さな約束を守れない会社に、100億の約束は守れない。現の職や、請け、関わる全てのの命と活を預かる資格はない。……それだけのことです」

は、ゆっくりと振り返り、、瀬川、そして岩田を順番に見渡した。その目はりで血っていた。

広告

「うちの誰か……当たりはあるか?」

岩田の顔から、スッと血の気が引き、真っになった。

誰も、何も言わなかった。その苦しい沈黙が、何よりの答えだった。

線が、岩田の顔でピタリと止まった。

「岩田……。まさか、おじゃないだろうな」

岩田は膝の震えを必に抑え、蚊の鳴くようなさな声で答えた。

「……それは、私ですが」

の眉がピクリとがった。

「なぜ報告しなかった!!」

号がんだ。岩田は慌てて振り振りを交えて弁解した。

「報告も何も! たかが定の予約をつ取り消しただけです! たったそれだけで、100億の契約が消えるなんて……そんなバカな話がありますか!?」

の空気が気にたくなった。誰も何も言わなかった。

岩田は、周りの反応に焦り、さらに言葉をねた。

「そ、そもそも! このを予約したのは瀬川です! 私は歓迎会の責任者として、を変更しただけで……」

そこで、ずっとろで俯いていた瀬川が、スッとた。

声はさかったが、はっきりとした調で言った。

を選んだのは、私です。……ですが、当になって予約キャンセルの話をかけたのは、岩田主任です」

「なっ……!」

「私が『もう仕込みが終わっているから』と止めようとしたら、『報告するな』と命令されました。……申し訳ありませんでした」

瀬川は、と、そしてけい子に向かってげた。

岩田の顔が醜く歪んだ。

「お……! 体、ドタキャンとは違うでしょう! 当と言っても、宴会までまだ2ありました!」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: