"私の命を八千万円にした夫の末路" 第10話
鮮に、クリアに。 レナの切り声が、マイクに吸い込まれていく。
「黙りなさい、このバカ娘!!」
が、レナの頬を平打ちした。 パァン、と乾いた音がリビングに響き渡る。
「真由に聞こえたらどうするのよ! まだのにいるのよ!」
「痛っ……! ぶったわね!? いいわよ、だったら兄ちゃんにも全部ぶちまけてやる! 兄ちゃんが『やっぱり真由を殺すなんてできない』って泣き言言ってたの、ママが『じゃああんたが代わりに首でも吊るのね』って脅したこと、全部録音してあるんだから!!」
録音。
その単語に、私のがねがった。
「あんた、まさか……」 の声が、恐怖で震えした。
「当たりでしょ! あんたたちが私を裏切ったの保険よ! 兄ちゃんの具箱の! 番の引きしの奥に、古いボイスレコーダー隠してあるからね! あの庫で、あんたたちがブレーキのホースに針巻きながら『これで確実にぬ』って話してた会話、丸ごと入ってんだよ!!」
具箱。 庫の、修の具箱。
私の全を、撃のような衝撃が貫いた。
それだ。
私が喉からがるほど欲しかった、言い逃れの絶対にできない、決定な「の声」の証拠。
「レナ、あんたなんてことを……!」
がレナに掴みかかり、はリビングのでもみいを始めた。 互いの髪を引っ張りい、罵声を浴びせう。
で繋がっていた族の、あまりにも醜い自壊。
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私はその隙を見逃さなかった。 音を消し、勝からのへと滑りた。
◇
砂りのが、私の肩を濡らす。
トタン根の庫。 シャッターの奥から、のアイドリング音がく響いていた。
ブルルン、ブルルン……。
排気ガスの煙が、の湿気と混ざりって漂っている。
運転席に、修の姿はなかった。 運転だけをセットして、彼は今、の様子を見に戻っているのだろう。
がない。 修が戻ってくるに、見つけさなければならない。
私は庫の隅にある、赤錆の浮いたスチール製の型具箱へと駆け寄った。
いフタをける。 番の段には、スパナやレンチが無造作に転がっている。 段目、ボルトやナットの箱。
そして、段目。 番の、い引きし。
を突っ込み、油まみれのウエスや、古いサンドペーパーを掻き分ける。
指先が、たい属の塊に触れた。
引っ張りす。
のひらに収まるサイズの、黒いボイスレコーダー。 表面の塗装は剥げ、液晶画面には無数の傷がついている。
側面の再ボタンに、震える指をかけた。
『……おい、修。そこ、もっとく削れ』
の、押し殺したような声。
『だ、だけど母さん、これ以削ったら、りしてすぐに破裂しちゃうよ……』
『バカね! で止まられたら困るのよ! 箱根の料のり坂、あの急カーブの連続で、何度もブレーキを踏ませるの! と圧力で気に破断させなきゃ、ただの備良の単独事故に見えないじゃないの!』
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『……う、うん。わかった。針、これでいいかい』
『ええ。これでハンドルを切るたびに、ゴムが擦れるわ。 ……ふふ、真由さんもにねえ。 でも、あの子の命で、うちのが救われるんだから。 んで初めて、佐伯の役につんだわ』
『……真由、悪くうなよ。おの代わりなんて、さえあればいくらでもに入るんだからな』
カチリ、と音声が途切れた。
音が、トタン根を激しく打ち付けていた。
ザァザァと、世界を押し流すような豪。
私ののひらので、ボイスレコーダーがたくっている。
これだ。
夫の修。 姑の。 そして、姑のレナ。
このの族全員が、共謀して私を殺害しようとした、かぬ証拠。
「……何してるんだ、真由」
背から、く掠れた声が響いた。
臓が、ねがった。
ゆっくりと、振り返る。
庫の入り。 に打たれながら、修がっていた。
その目は血り、唇は青に変し、異様なを放ちながら私を見据えていた。
には、古い属製のタイヤレバーが握りしめられていた。
トタン根を打ち付ける音が、庫のに反響していた。
ザァザァと、鼓膜を塞ぐような轟音。 排気ガスの鈍い煙が、コンクリートのをうように漂っている。
修は歩、また歩と濡れた靴音をててへみた。 に握られた、鈍くるタイヤレバー。