"私の命を八千万円にした夫の末路" 第6話
暗の、スマートフォンの画面のるさを最にし、ライトではなく画面自体のいで部を照らす。
な黒檀の机。 そのには、几帳面に理された類てが並んでいる。
引きしには鍵がかかっていなかった。 は、このので自分が絶対の支配者だと信じ切っている。棒が入る配など毛していないのだ。
番の引きしをける。 通帳ケースがあった。
緑の、農協の通帳。 いて、直のページを目で追う。
【残:¥42,150】
残は、これだけだった。 かつて数千万円あったはずの佐伯の蓄えは、完全に底をついていた。
そして、ページをめくった最の。 赤いインクで、械な印字が打ち込まれていた。
【915 担保設定・最終弁済期 ¥38,000,000】
……。 来週の、曜。
あと。 佐伯の老舗のとが、抵当権を使されて競売にかけられる期が、目のに迫っていた。
借の総額は、千百万円。
私の搭乗者保険は、千万円。 千百万円の借を括で完済しても、元に千万円以の現が綺麗に残る計算だ。
さらに、ゴミ箱のに目をやった。
シュレッダーにかけられるの、くしゃくしゃに丸められた郵便物が捨てられている。 拾いげ、皺を伸ばした。
レナ宛ての、クレジットカード会社からの督促状だった。
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【井友カード:お支払いのご案内(最終催告)】 【請求額:¥4,820,000】
【楽カード:法措置移予告通】 【請求額:¥3,150,000】
レナで、百万円い焦げ付き。 あの女が自げに見せびらかしていたハイブランドのバッグや靴は、すべてこの破滅へのカウントダウンのに成りっていたのだ。
そして、机の類ての隙から、もう枚のメモ用が見つかった。
の、あの神経質で角張ったき文字。
『配分』 『返済:3800』 『レナ:1000』 『修・会社運転資:2000』 『予備・リフォーム:1200』 『計:8000』
計、千。
数字の端に、赤ペンで線が引かれていた。
私というが、鉄の塊ので肉を潰され、骨を砕かれてぬことで、この族の借はすべて帳消しになり、はリフォームされ、姑は借を清算してまた買い物を楽しむ。
すべてが、綺麗に符した。
枚の無駄もない。 円の狂いもない。 このので、私はすでに「千万円の現」として解体され、族全員で分けを分けされていた。
「……ふざけないで」
声にならない呟きが、乾いた唇から零れた。
涙など、最初から滴もなかった。 ただ、たいりが、私の臓腑を凍りつかせていく。
スマホで、農協の通帳、督促状、そしての配分メモを、枚残らず鮮に撮した。
帳の付。 額。 跡。
すべてをクラウドの隠しフォルダに保する。
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そのだった。
ギィ……ッ。
で、階段がきしむ音が響いた。
誰かが、階からりてきている。
私は息を呑み、スマートフォンの画面を伏せた。 部が、完全なに包まれる。
トス、トス、トス。
素が階段をりてくる音。 修だ。 酒をんで寝ていたはずの夫が、起きてきた。
音は、階の廊で止まった。
静寂。
私は斎の机のにを屈め、呼吸を完全に止めた。 臓が激しく肋骨を打ち付ける。
カチャ。
台所の蔵庫がく音がした。 続いて、コップにが注がれる音。 喉を鳴らしてをむ気配。
助かった、をみにりてきただけだ――そうった瞬だった。
音が、再びきした。 台所から、リビングへ。 そして――廊を、こちらへ向かって歩いてくる。
トス、トス、トス。
斎の引き戸の真んで、音がピタリと止まった。
私の全の毛穴がき、や汗が吹きす。
引き戸の向こうに、修がっている。 戸の隙から、彼の微かな息遣いが聞こえる。
なぜ、ここに来る? 何かに気づいたのか?
スッ……と、引き戸にがかけられる気配がした。
枠が、数ミリだけ横にスライドする。 の廊の、暗い常夜灯のが、に細い本の線となって差し込んだ。
見つかる。 こんなところで、スマホをにしてしゃがんでいるのを見られたら、すべてが終わる。
その――。
「……修?」
廊の奥から、しゃがれた声が響いた。
の部のドアがく音。
引き戸にかかっていた修のが、ビクッと止まった。
「……母さん。起こしちゃったか」