"10年逃亡した父の未開封400万" 第12話
親切な植田会が、その狂気のを担いでいたことも。
客の列が途切れ、ふっとレジ周りに空のが訪れただった。
カツン。
レジのコンベアのに、無造作につの商品が置かれた。
それは、品ではなかった。
の革製作業用軍と、園芸コーナーで売られている力な塩素系除剤のボトル。
「……いらっしゃいませ」
械に顔をげた私の線が、凍りついた。
目のにっていたのは、作業着姿の植田だった。
顔をい皺で歪ませ、角だけを自然に吊りげた笑みを浮かべている。 その目は、ガラス玉のようにを反射せず、私のエプロンの奥——バックヤードに置いてある私のリュックの方向を、じっと見据えていた。
「真由美ちゃん。探したよ」
く、押し殺した声。 レジの客列には、まだろに誰も並んでいない。 内の陽気なポップミュージックだけが、のあいだで虚しく鳴り響いていた。
「成増までったんだってね。……目撃したやつから、さっき連絡があったよ」
全の血液が、瞬での裏から抜け落ちていくような覚。 植田のネットワークは、この隣帯の商にまで張り巡らされていたのだ。
「余計なことをするなって、あれほど言ったのに」
植田はを乗りし、バーコードリーダーを握る私の震えるのに、自分の脂ぎった分いをねた。
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たい。 きているの体温とはえないほど、酷な圧力が骨にめり込む。
「お母さんが、なぜあの百万円を使わなかったか、あんた分かるかい?」
元で、囁かれた。
「使えなかったんじゃない。使いたくなかったんだよ。あのはな……健の『骨の代』だったからだ」
「……ひっ」
「今夜、団の解体業者がを搬入する。には、あの4号棟の裏にある旧浄化槽のコンクリートを、全部ひっぺがす予定になってる」
植田の濁った瞳が、私を覗き込んだ。
「あそこにはな、、おの母親が俺に頼んで流し込ませた、消とモルタルの塊が沈んでるんだよ」
ので、母の計簿の文字が鮮血のように蘇った。
【消 キロ入り 袋】 【使用量:方メートル】
量の。 量の消。 そして、浄化槽。
「真由美ちゃん。あんたが全部黙っていれば、お袋さんは『苦労して娘を育てげた聖母』のまま、国へけるんだ」
植田はねたに、さらに体をかけた。 指の関節が、鳴をげる。
「あのテープと、靴を渡しなさい。今の夕方、団の庭で待ってる。持ってこなければ……おの母親の体を、墓から掘り起こしてでも、町に恥を晒すことになるぞ」
植田はそう言い放つと、軍と除剤をひったくるように掴み、レジにおを置くこともせず、悠然とへと歩いていった。
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自ドアが閉するが、私の頬をたく撫でた。
まで、あと。
私はレジのカウンターに両をつき、崩れ落ちそうになる膝を必で堪えていた。
スーパーのバックヤードに漂う、段ボールの糊と魚の臭い匂いが、喉の奥に張り付いてれなかった。
午。 タイムカードを押し、エプロンを脱ぎ捨てる。 指先はまだ、植田に掴まれた首の激痛を覚えていた。
まで、あと。
私は更のロッカーのに座り込み、暗い蛍灯ので黒いリュックをいた。 のボイスレコーダー。 爪の先ほどのきさのマイクロカセットテープ。
主の老は言っていた。 「無理に送りや巻き戻しをするな。テープが千切れるぞ」と。
だが、あの録音は、父が叫び、何かが倒れる鈍い音で唐突に途切れていた。 本当にあそこで終わっているのか? テープの窓を覗き込む。 細い茶の帯は、側のリールにまだ半分以残されていた。
私は持ちの油性マジックの軸をテープの歯に差し込み、で、ミリずつ慎に巻き戻した。 カチ、カチ、カチ。 静かな更に、さなプラスチックの噛みう音だけが響く。
衝撃で源が落ちたのではないとしたら。 父が倒れた、このレコーダーが畳の隙や箪笥ので、息を潜めて録音を続けていたとしたら——。
イヤホンをに押し込み、再ボタンを押した。
ジリジリ……という烈な砂嵐の音。