"一度死んだ「秋田涼」と7歳の孤児" 第5話
寡黙でしに見えるきな体の男性。
そして、見ているだけで優しそうで温かい笑顔を浮かべている柄な女性。
この、俺のは運命の歯によって静かに、しかし決定にきしたのだ。
俺は呼吸をして、ソファに座る老夫婦に向かって歩きした。
が震えてうまく面を踏みしめられているのかも分からなかった。
職員の先が俺を老夫婦のに連れてき、改めて紹介してくれる。
「こちらがお話ししていた涼君です。し緊張しているようですが、この子は本当に穏やかで、いつも周りの子をよく伝ってくれるとても優しい子ですよ。」
先が懸命説してくれている、俺はただを向いてっていることしかできなかった。
夫婦のうち、先に声をかけてくれたのは柄で温かい笑顔を浮かべている女性だった。
彼女はゆっくりとちがり、俺の目のに膝をついて目線をわせてくれた。
その顔には品定めをするような表はなく、ただ優しさといしみが混じったような複雑なが滲んでいた。
母さんは俺の顔を、髪を、をからまで瞬も見逃すまいとするかのようにじっと見つめていた。
その線はくもなくたくもなく、まるでい昔からっている何かを探しているようだった。
広告
母さんは潤んだ瞳でかすかに微笑んだ。
「あなた、涼っていうのね。」
その「涼」という呼び方。
それは先や友達が呼ぶ涼とはまるで違っていた。
と懐かしさと、そしてしの痛みが混じったような特別な響きだった。
母さんは俺のをそっと握る。
そのは驚くほど温かかった。
方、その隣に座っていた男性、の父さんである映像は言も発さなかった。
彼は俺の顔をじっと見つめている。
その目は母さんとは違い、何のも読み取れないほどにただひたすら寡黙だった。
怖いわけではなかったが、彼が何を考えているのか全く分からずになる。
そして父さんはしばらくの俺を無言で見つめ続けた、ゆっくりとく頷いた。
「連れて帰ろう。」
何の飾り気もない、ただの決定事項のようにそう言った。
その、母さんは堰を切ったようにわっと声をあげて泣きした。
俺を握っていたの力がくなり、母さんは俺をく抱きしめる。
俺の頬に母さんの涙がポタリと落ちた。
母さんは俺の元でこう囁いた。
「うちにいらっしゃい。」
何が起こっているのかすぐに理解できなかったが、涙を流しながらそう言われたことにようやく俺の考は回り始める。
俺に族ができる。
7施設の井を見げながらにもわなかった、たった1つの願い。
広告
それが今目ので叶おうとしていた。
その瞬、俺のにあったずっと空っぽだった穴が、温かい何かで満たされていくのをじた。
この老夫婦が俺の族になる。
それが田涼にとっての族の記憶の始まりだった。
俺は7歳にして初めて、という所をに入れたのだ。
しかし、里親制度による縁組の続きは、7歳の俺の目から見ても非常に複雑でどこか自然にじられるものだった。
その会いから数、俺は父さんと母さんに連れられて役所やいくつかの公な関を回った。
母さんは終始幸せそうに俺のを握り、父さんは寡黙を貫いていた。
役所の暗い別で、父さんは施設の職員や役の職員とにわたって話しっていた。
俺はその様子を控のような所から母さんと緒に見ていた。
父さんの言葉で、俺が今でも覚えているフレーズがある。
「をかけるが頼むな。うまくやってくれ。」
父さんは役所の職員に対して、そうきっぱりと言い放った。
当、父さんはまだ町役を定退職したばかりで、域での望や信頼もいだったのだろう。
その父さんの言葉には、並々ならぬ決のようなものが込められているようにじられた。
職員の方々は父さんの言葉にさく頷いていたが、その表はどこかかった。
そして俺のぼんやりとした記憶のには、警察官のような制を着たの姿もある。
役所のではなかったはずだ。