"一度死んだ「秋田涼」と7歳の孤児" 第4話
「この子、誰だろう?」
わずに取って眺めていると、背から母さんの声がした。
「あ、それ……」
母さんは俺につまみを持ってきながらその写真を見て、し困ったような表を浮かべた。
俺はなおも写真を見つめながら尋ねた。
「これ、誰?」
母さんは目を泳がせながら、さな声で答えた。
「えっとね、昔ちょっとね……」
母さんはそれ以は何も言わず、すぐに料理に戻ってしまう。
俺はまた1つ、この族の歴史にするさな違の断片を見つけてしまったような気がした。
あの見つけた写真は、静かに俺の記憶の隅に収まった。
俺がるべき過は、この田に来るのことだ。
俺は0歳のに個院……いや施設に預けられた。
族に関する記憶は本当に切ない。
物ついたからそこが俺のだった。
施設での記憶は決して暗いものではなかった。
優しくな先たちがいて、俺と同じように親のをらない子供たちがたくさんいた。
もちろん、皆が同じ過を持つわけではない。
に保護されている子、親御さんの病気や経済な事で預けられている子、そして俺のようにどういう経緯で来たのかも分からない子。
俺はの子と比べて特に目つことも、きな問題を起こすこともない穏やかな子供だったそうだ。
先からは「涼君はいつも周りの子の面倒を見て、お仕事を伝ってくれるわね」
広告
とよく褒められていた。
実際、俺の周りにはいつも誰かがいて、寂しいとじた記憶もあまりない。
でも、の奥底にはいつもさな穴がいているような覚があった。
週末や期休暇になると、迎えのが施設のに横付けされる。
親御さんが迎えに来て、子供たちは満面の笑みを浮かべて帰っていく。
その、俺はいつもの子の背を羨望のまなざしで見つめていた。
「俺には迎えに来てくれるはいないんだ。」
そう悟ったのは4歳くらいの頃だっただろうか。
自分には帰る所がない。
親というがいない。
その事は幼い俺にとって、抗いようのない孤独と寂しさだった。
俺は自分の名を持っていたが、苗字はなかった。
施設の子は皆、苗字なしで呼ばれていた。
「涼君、お絵描きのよ。」
「涼、今は僕と緒に鬼ごっこしようよ。」
名だけが、俺の唯のアイデンティティだった。
施設の活で俺が1番好きだったは、毎週曜の午にわれる絵本の読み聞かせだった。
配のボランティアの女性が来て、いつも優しく様々な物語を読んでくれる。
ある読んでくれたのは、幸せな族という絵本だった。
両親と子供が畑を耕し、パンを焼き、誕を祝い、のに炉のにあたる。
特別なことは何もない、普通の族の物語だ。
広告
俺はその絵本をい入るように見つめた。
その絵本のに描かれている常が、俺にとってはまるで御伽話のようにい世界の来事に見えた。
「涼君、あなたもいつかこんな素敵な族に会えるわよ。」
読み聞かせが終わった、ボランティアの女性が俺のを優しく撫でながらそう言ってくれた。
そして、その言葉から約1、7歳になった俺にその奇跡は訪れることになる。
施設で暮らす子供たちにとって、面会や里親希望者との交流は緊張と期待が入り混じる、に数回あるかないかのきなイベントだった。
7歳になったばかりのえ込み始めた晩のある、施設の職員に俺は呼びされた。
「涼君、今あなたに会いたいという方がいらっしゃるの。しい族になってくれるかもしれない、優しいご夫婦よ。」
職員の先はし興奮した面持ちで、俺にしいシャツを着せてくれる。
臓はドキドキと激しく鳴り響いた。
期待よりもの方がきかったようにう。
もしこのたちに気に入られなかったら、もしまたすぐに別の族を探さなければならなかったら……。
職員の扉ので、先が俺の肩を抱き、優しく打ちした。
「いつもの涼君でいれば丈夫よ。あなたは穏やかで優しくて、本当にいい子なんだから。」
俺はさく頷いた。
そして、い製の扉がゆっくりとく。
部の奥のソファに、2の老いた男女が座っていた。