"4回の救急着信と1ヶ月後の離婚宣告" 第11話
きな声をさない。触れるは護師の指示に従う。治療の妨げになることはしない」
「分かりました」
それから……が1度元の記録を見た。
「緊急連絡先についてはで確認させてください」
尚弥の顔が固くなった。
「はい……」
はそれ以言わなかった。
集治療ので尚弥はを消毒した。扉がく。械音が聞こえた。ベッドのにみおがいた。の部に包帯があり、胸元から何本もチューブが伸びている。顔はかった。あまりにも静かだった。尚弥は止まった。昨の午、話越しに自分へ言い返していた声が急にいされた。『妻ので昔の恋を優先してること』。それが最に聞いた声だった。その数、自分は写真を送った。
尚弥はベッド脇まで歩いた。
「みお……」
返事はない。もう1度呼んだ。
「みお……」
モニター音だけが続いた。を伸ばした。途で止めた。細いチューブが何本も見えた。触っていいのか分からなかった。森川がそばで言った。
「に触れるくらいなら丈夫です」
尚弥はみおのの甲に指を置いた。たくはなかった。それだけで胸の奥に溜めていた息がし抜けた。
「俺、帰ってきた……」
当然返事はない。聞こえているか? 何もない。尚弥はそのにったままみおの顔を見た。さや、自分はの見えるホテルにいた。みおはここへ運ばれていた。
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病院からの話を自分で切った。その事実だけがの何よりはっきり残った。
が扉のところで言った。
「黒川さん、です」
尚弥はすぐにはかなかった。
「あとし……今は休ませてください」
社として命令するの言葉が1つもてこなかった。尚弥はみおのから指をした。
「また来る」
それだけ言って部をた。扉が閉まった。廊からしばらくけなかった。
尚弥が集治療をてから10分ほど経った。族待の扉がいた。が戻ってきた。には透な袋と病院の記録用を持っている。
「黒川さん、お預かりしている所持品の確認をお願いします」
尚弥はちがった。袋のにみおの財布、社員証、鍵、画面の割れたスマートフォン、そして結婚指輪が入っていた。指輪の内側に黒ずんだ血が残っていた。尚弥のが止まった。結婚した、2で選んだものだった。みおは仕事もほとんどさなかった。
「これは事故に救急来でしたものです」
が言った。「が腫れる能性があったので」
袋の底には血のついたジャケットの切れ端も入っていた。救急処置のために切ったものだとが説した。尚弥はそれ以袋のを探らなかった。指輪を取った。たかった。
「スマホは画面は破損しています。源は今落ちています。
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のデータは……」
はし眉を寄せた。
「それは私たちが扱うものではありません」
「そうですよね……」
尚弥は指輪を袋へ戻した。
は記録用をいた。
「もう1点、緊急連絡先について確認します」
尚弥の喉がいた。
「昨夜、当院から4回ご連絡しています」
の声は変わらなかった。
「最初の1回は応答なし、そのの3回は呼びしの途で切られてます」
尚弥は顔をあげた。
「3回……?」
「はい」
「全部ここからですか?」
「はい、救急来からです」
用の発信記録を指した。「刻も残っています」
尚弥は数字を見た。1回目、2回目、3回目、4回目。ホテルでスマートフォンが震えた刻とほぼなった。
「俺は……」
声がた。そこで止まった。は待たなかった。
「救命処置はご族と連絡が取れなくてもめています」
尚弥は黙って聞いた。
「ただ病状説や緊急の連絡のため登録された方へ発信しました」
「らない番号だったんです……」
言った瞬、尚弥自がその言葉を嫌になった。の表は変わらない。
「そうですか」
それだけだった。責められるより何も言われない方が苦しかった。尚弥は続けた。
「妻が別の番号からかけてるとって……」
が尚弥を見る。
「奥様はそのすでに術です」
尚弥はを閉じた。
尚弥は自分の着信履歴もいた。同じ刻に同じ番号が4つ並んでいた。最初の1件には着信。
残り3件にはい通話だけが残っている。たのではない。呼びしの途で切った記録だった。尚弥は1番目から順に見た。