"4回の救急着信と1ヶ月後の離婚宣告" 第9話
でも話はできる。会社へっているならの朝には顔をわせる。そうであってほしい。そこまで考えて尚弥は眉を寄せた。なぜ自分がそうであってほしいとっているのか答えはさなかった。さやは隣で眠っていた。尚弥は眠らなかった。
羽田に着いたのは本の夜だった。内モードを切る。通が気に入った。仕事のメール。川からの着信。社内チャット。みおからはない。
尚弥は最初にみおへ話した。また自音声だった。次に川へかけた。
「社、お帰りですか?」
「ああ、みおは会社に来たか?」
川が黙った。
「川」
「……管理本部は本社していません」
尚弥のが止まった。到着ロビーへ向かう通でが横を流れていく。
「連絡は私からは取れていません。昨は……」
川の声がし変わった。
「昨の夜、管理本部から何件か緊急連絡が入っていました。ただ私は詳細までは……」
「何の話だ」
「社、今どちらですか?」
「羽田だ」
「私も今向かっています」
「質問に答えろ。話で確かなことは言えません」
尚弥は苛った。
「みおに何があった?」
「私からは断定できません」
その返事でが形になった。
「何をってる?」
「社、まず井さんへ連絡してください」
川はそれだけ言った。
尚弥は通話を切った。井の番号を押す。1回目で繋がった。
「はい、井です」
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「俺だ。みおはいるか?」
向こうが静かになった。
「井さん」
「尚弥さん……」
声が震えていた。尚弥は歩くのをやめた。
「みおはどこだ?」
「今までどこにいらしたんですか?」
「何の話だ?」
「奥様は昨夜から救命センターです」
尚弥は返事をしなかった。周囲の音だけが聞こえた。キャリーケースの輪、到着案内、の音。井が続けた。
「交通事故です。かなりきな事故だったそうです」
「事故……」
自分の声がく聞こえた。
「何を言ってる?」
「昨夜救急で横浜臨医療センターへ運ばれました」
「いつ?」
「昨の夜です」
「今は……」
「術は終わっています。でも識が戻っていません」
尚弥のからスマートフォンが滑りかけた。すぐ握り直した。
「なんで俺に連絡しなかった?」
井の息が詰まった。次に帰ってきた声はさっきよりかった。
「何度も連絡したでしょう!」
尚弥は何も言えなかった。
「病院からも会社からも何度もです!」
「病院……」
のにさやの着信が浮かんだ。らない本の番号。何度も鳴った。自分で切った。
「待ってくれ」
尚弥の声がくなった。
「病院から俺に話したのか?」
「そう聞いています」
「何回だ……」
「詳しいことは病院で聞いてください」
井の声に涙が混じった。
「でも奥様が1番変なにあなたは話になかったんです!」
尚弥は壁にをついた。さやがしれた所から見ていた。
「病院はどこだ?」
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「横浜臨医療センターです」
「今からく」
「尚弥さん」
「なんだ?」
「奥様ので言い訳だけはしないでください」
通話が切れた。尚弥は数秒スマートフォンをに当てたままだった。
さやがづいた。
「何があったの?」
尚弥は答えなかった。
「尚弥、みおが事故に……」
さやの顔からが消えた。
「え……そんな……」
「病院から話が来てた」
さやがを閉じた。尚弥は彼女を見た。さっき番号が鳴った、仕事じゃないのとさやは言った。みおだったらと聞いた。ないと答えたのは自分だった。
さやがさく言った。
「でも病院からだって分かったんでしょう?」
尚弥はその言葉に反応しなかった。今は慰めにもならなかった。さやはし迷もう1度をいた。
「なおや……方から言ったよ」
尚弥の目がいた。
「何が言いたい?」
「責めてるんじゃない。ただ病院なんて誰にも分からなかったって……」
「俺が切った」
「でもらなかったんだから……」
「俺が切ったんだ」
今度はさやが黙った。尚弥は自分の言葉を聞いていた。昨夜までなら理由を探したはずだった。らない番号だった。みおがよくすねるからだ。る必がないとった。どれも事実ではある。でも指で通話を切ったのは自分だった。その作だけは誰にも擦り替えられなかった。
さやがさく言った。
「私のせいだとってる?」
尚弥はすぐ答えなかった。
「今はその話をしたくない」
「でもそういう顔してる……」
「さや」
声が変わった。
「今は黙ってくれ」
さやはそれ以言わなかった。