みかん小説
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"4回の救急着信と1ヶ月後の離婚宣告" 第3話

「ご族ですよね」

「夫です」

「もう1回お願いします」

が先にった。

「ただし待たない。血液来たらすぐ入れて」

「はい」

私の腕にもしいラインが取られた。透なチューブの向こう。赤い血液が流れてきた。体が寒かった。歯が鳴りそうなのにかす力もなかった。

「体温35.1度、加温して」

きます」

「そのままへ、画像を待たない」

が私のくに顔を寄せた。

「黒川さん、お腹の血しています。今から止血の術をします」

私はしだけまばたきをした。

「ご族にはこちらから連絡を続けます。今は術を優先します」

その言葉だけはっきり聞こえた。私は運ばれた。廊の照が流れていく。

3回目の話が始まった。今度も数秒で切られた。

「3回目も切れました」

藤原の声が響く。

「発信刻を全部残して」

「はい」

森川がく言った。

「病院から3回ですよね」

藤原は画面を見たまま答えた。

「そうです」

「何かあったとわないのかな」

は振り返らなかった。

「今は患者さんです。連絡はでも1度術を止める理由にはならない」

それで話は終わった。誰も尚弥を待たなかった。

の扉がいた。るい無灯に刺さる。田辺が準備をしながら私の名を確認した。

「黒川みおさん、聞こえますか」

私は目をかした。

「これから麻酔が入ります」

モニター音が定の隔でなった。

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血圧62、輸血1単位目始しています。酸素飽90、挿管準備。言葉がくなっていく。

術台はたかった。背に触れる布もたかった。私は井を見ながらなぜか結婚した頃のことをした。私と尚弥は最初から烈にって結婚したわけではない。黒川とさやのは父親同士が昔から仕事で付きいがあった。子供の頃からお互いの顔をっていた。になって再した。周囲から見れば結婚までの流れは自然だった。私は尚弥を好きだった。それだけで分だとっていた。最初から同じだけされなくても緒に暮らせば変わる。私は本気でそう考えていた。

彼が遅く帰れば事を残しておいた。張なら必なものを先に揃えた。数留守をければ朝と夜に1度は連絡した。事を取ったか、薬を忘れていないか、気は荒れていないか。尚弥は最初く返していた。そのうち既読だけになった。さらにが経つとそれすら遅くなった。私は続けた。迷惑だと言われるまでそれを気遣いだとっていた。

さやが戻ってきたのは1だった。尚弥が学代に付きった女性、く忘れられなかった相。本はもう昔の話だと言った。でもさやから話がくれば会議でもた。夜に気分が悪いと言えばした。

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私との約束を断った夜もあった。その度に尚弥は言った。さやは1にすると定になる。昔からの付きいだ。おなら分かるだろう。私は分かった。受け入れた。理解のある妻でいればいつか彼は私を見るとっていた。

の午まではい照で急にそれがばかばかしくなった。尚弥は私に何度も答えを見せていた。私が見ないふりをしていただけだった。識が沈む直に浮かんだのは議くらいさなことばかりだった。尚弥の帰りが遅い夜に蔵庫へ入れていた夕。彼が邪を引いた、朝1番で買った薬。張のにパスポートを忘れていないか確認したこと。私はそれをだとっていた。尚弥は活の部だとっていた。なくならないもの。自分が何をしてもに戻れば残っているもの。

もしこのまま目をけられなくてももうそれを証する必はない。さやとどこへったのかも。何にホテルへ戻ったのかも。次はいつ会うのかも。聞かなくていい。考えると怖いはずなのにしだけ体の力が抜けた。

「麻酔入ります」

誰かが言った。界の端がぼやけた。

そのでは藤原が4回目の発信をしていた。く呼びした、今度も途で切られた。藤原は記録画面に入力した。

緊急連絡先、黒川。4回発信なし、3回途切断。その記録は誰にも見られないまま消えるものではなかった。

術が始まった。

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