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"見えない星" 第10話

「は、はい……申し訳ございませんでした……!」

は机に縋り付くようにして、ただ涙を流しながら謝罪の言葉を繰り返すことしかできなかった。 会議が閉会を迎えた田は総支配を自へと呼び寄せた。

「昨夜私がいたがある。これを至急、彼女の自宅へ直接届けてくれ。決して無礼のないよう、最の敬を払ってな」

「かしこまりました、会

総支配田から託されたみのある封筒を両で慎に受け取り、々とげて部にした。

解雇通告を受けてからが過ぎた、の午。 都内の古い造アパートので、はる子は狭い台所にち、透析から戻る父親のためにのスープを煮込んでいた。 解雇されて以来、彼女のは暗を彷徨い続けていた。職を運んではみたものの、齢の両親の介護と両できる条件の仕事はすぐには見つからず、通帳の残は刻刻と減り続けていた。 父親にどう切りすべきか。来の治療費をどう面するべきか。答えのない問いがを巡り、包丁を握るは鉛のようにかった。

ピンポーン。

古びたインターホンが鳴り、はる子はエプロンでを拭きながら玄関へと向かった。 ドアをけると、そこには仕ての良いスーツを着たの男性が、緊張した面持ちで直していた。

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胸元には、見慣れたグランドホテルのの社章が輝いている。

「田はる子様でいらっしゃいますでしょうか」

「あ……はい、そうですが……」

男性ははる子の姿を認めるなり、直角にげた。

「突然の訪問、変失礼いたします。私、グランドホテル総支配と申します。本は、弊社の田会より、田様へ直接お渡しするよう厳命を受けました状をお届けにがりました」

「や、田……会……?」

はる子は差しされたい封筒を、訳も分からぬまま両で受け取った。 の箔押しでホテルの紋章が刻まれたその封筒は、清掃員に届くような代物では決してなかった。 総支配は再び々と礼すると、「よろしくお願い申しげます」と言い残し、静かにっていった。

に戻ったはる子は、震える指先で封筒の封蝋を剥がし、から折り畳まれた便箋を取りした。 広げられた便箋には、万による力く、かつ端正な文字がびっしりと並んでいた。 はる子は最初のを目にした瞬わず息を呑み、さく叫び声をあげた。

『田はる子さんへ。 まず初めに、私の本当の分をきにわたり隠し続けていたことを、よりお詫び申しげます。 私は、グランドホテルグループ取締役会の、次です』

「え……? 田さんが……会……?」

はる子のから力が抜けそうになり、便箋が細かく震えた。

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何度も目を擦り、印字ではなく肉かれたその文字を読み返したが、かれている内容は変わらなかった。 には、田が経営者の位を捨ててまでで働き続けた真の理由、清掃員としての々ので、はる子の純粋な真と働きぶりにどれほどく救われ、学ばされたかが切々と綴られていた。 そして、今回の解雇処分がいかに当で悪に満ちたものであったか、それがすでに経営陣の正式な決定として完全に撤回されたことが記されていた。

『あなたの解雇処分は、即刻無効として取り消されました。 そして、あなたのために、正社員としてのたな職責を用させていただきました。 設される「顧客サービス教育部」の責任者として、あなたが現で示してくれたあの素らしい精神と姿勢を、これからのすべての職員たちに直接指導していただきたいのです。 与は従来の倍とし、ご両親の医療を支援するための特別な福利も適用いたします。 何より――あなたのような気を持つ材こそが、今のこのホテルには絶対に必なのです。 私はあなたからくを学びました。 位や名誉、銭の寡ではなく、こそが最も尊いものであるということを。 どうか、もう度私と共に、このホテルで働いてはいただけないでしょうか』

はる子の瞳から、ポロポロと粒の涙が零れ落ち、便箋の文字のさな染みを作った。

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