"傷だらけの天使" 第8話
と私たちをリビングへと通した。
リビングは、美術館のロビーかとうほど広く、洗練された空だった。そこにはすでに、さんと瓜つの父親と、いかにもエリート然とした雰囲気を纏った兄がソファに座って私たちを待ち構えていた。
「父さん、兄さん……」 さんの声が、わずかに震えている。
「よく来たな、。……で、そいつが君の結婚を邪魔しているという、例の男か」 父親はい声で威圧するように言い放った。その線には、娘のを尊する親の温もりなど微もなく、ただ「族の欠陥品をいかに処分するか」という徹な計算しかなかった。
「邪魔なんかしていません。俺たちは真剣に結婚を提にお付きいを……」 私が割って入ろうとすると、父親はややかにで笑った。 「結婚だと? ふざけるな。君のような、いつ芽がるかも分からない定な役者崩れが、がの娘を養えるのかね? には、すでにふさわしいエリートの婚約者が用されているんだ。こんな男の戯れ言につきっている暇はない。さっさと別れなさい」
「父さん、いい加減にしてよ!」 ついにさんが声を荒らげた。 「私はもう子供じゃないの! 自分のは自分で決める! 医者としての私を否定して、具のように扱わないで!」 「黙りなさい、!」 父親がテーブルを激しく叩いた。
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その声に、リビングの空気が気に凍りつく。
「おは昔からそうだ。優秀な兄の背も見ず、来損ないとしてがの恥を晒し続けてきた。これ以、族の顔にを塗るな。この男とは、今すぐここで縁を切れ」
あまりの理尽さと、血の通っていない酷な言葉の数々に、私のなかの理性のリミッターが音をててれた。 ――娘を何だとっているんだ。こんなたちのために、彼女はずっとで苦しみ、泣いてきたのか。
私は子からちがり、父親をまっすぐに見据えた。
「……そこまで言う権利が、親にあるんですか」 私のい声に、リビングの線が斉に私に集まった。 父親が眉をひそめる。 「なんだと? 君、親に向かって……」 「親なら、子どもをして守るもんでしょうが! さんは、あんたたちの具じゃない! 医者として必に患者を救って、毎どれだけ努力しているか、あんたたちは度でも見ようとしたことがあるのかよ!」
「黙れ! 分かりもしないくせに勝なことを言うな!」 今度は隣に座っていた兄がちがり、私を鳴りつけた。 「こいつがどれだけ族に迷惑をかけてきたか、おに何が分かる! 来損ないのくせに、昔から自分勝で、自分の注で怪をしただって、族に隠れて……」
「兄さん、そこまでにして!」 さんが叫ぶように兄の言葉を遮った。
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しかし、その顔はみるみるうちに真っ青になり、全が細かく震え始めていた。
私は首をかしげた。 「怪……? それって、どういうことだ?」 兄はややかな笑みを浮かべ、さんを値踏みするように見た。 「らないのか? こいつのその太ももにあるきな傷の痕だよ。昔、俺たち族が遊園にかけた、こいつは留守番を言い渡されてでに残された。そしたら、寂しさからか、隠れてカップ麺をべようとしてお湯をこぼし、傷を負ったんだ。でも、親に叱られるのが怖くて病院にもかず、自分で隠し通そうとした。結局、俺たちが帰ってきたにはすでに皮膚がただれていて……本当にがかかる厄介者だったよ」
その話を聞いた瞬、私の脳裏で、あのの病院の景がフラッシュバックした。 ――あの診察で、踏み台から落ちた彼女のスカートがめくれた、私の目に焼き付いた、あの痛々しい傷の痕。 彼女は、幼い頃から族にされず、怪をしても病院にすら連れてってもらえず、でその痛みを耐え抜いてきたというのか。 りが、マグマのように私の全の血管を駆け巡った。
「ふざけるな……!」 私はテーブルをバンとく叩きつけ、声で鳴りつけた。 「子供が怪をしたってのに、病院にも連れてかず、放置しただと? それのどこが親だ! どこが族だ!」
父親と兄は、私の突然の剣幕に気圧されたように歩引いた。 「こんな酷なたちのために、さんはずっと怯えながらきてきたのか。