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"傷だらけの天使" 第5話

「っ……! あなたねぇ……!」 「ご、ごめんなさい! わざと見たわけじゃなくて、本当に反射で……!」 「忘れてって言ったでしょ! もう!」 彼女は恥ずかしさのあまり、元のペンをデスクのにポキリと置きそうなくらいく握りしめた。 しかし、私はを決して、今ここに来たもうつの目を切りすことにした。

「じゃあ……何か、責任取らせてください」 「……は? 責任って、何を?」 「こののお礼も兼ねて……今度、ご飯でもどうですか?」 私のその直球な誘いに、野は目を丸くしてきを止めた。 「い、いやよ、患者を事にな誘うなんて……」 「ダメですか? じゃあ、先が俺のに来るっていうのは?」 「へ……? あなたの……って、どういうこと?」 「だって、あの、俺の敷きになって、変だったわけだし……。俺のアパートに招待しますよ。料理、振るいますから」 自分で言っておきながら、どこか無謀な提案だとは分かっていた。しかし、彼女の揺している顔を見るのが、なぜかしだけよかったのだ。

「ちょっと、相馬くん……自分が何言ってるか分かってるの?」 「分かってますよ。冗談半分、本気半分です」 野はしばらく絶句していたが、やがてさく息を吐き、困ったような、しかしどこか嬉しそうな、複雑な笑みを浮かべた。 「……そこまで言うなら、本当にあなたのこうかしら」 「えっ、本当ですか?」 「ただし、条件があるわ。

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あなたが退院……じゃなくて、私の診察を無事に卒業したの夜ね。それまで、おとなしく怪を治しなさい」 「解しました!」

こうして、私はいがけず、あの美女医を自分のアパートへと招待する約束を取り付けてしまったのだった。

それから数、私は指定されたアパートのキッチンで、慣れないつきで野菜を切っていた。 「肉じゃが、これでってるのか……?」 レシピ本を片に悪戦苦闘していると、ピンポーンとインターホンが鳴った。 臓がドキンとがる。 玄関のドアをけると、そこにはを脱ぎ捨て、私に着替えた野っていた。

姿の彼女も美しかったが、私姿の彼女は、まるで別のように女のようならしさをまとっていた。 ひとつに束ねていた髪はきれいにほどかれ、ふんわりとしたウェーブが肩にかかっている。淡いピンクのトップスに、いロングスカートという装いは、彼女の透のある魅力をさらに引きてていた。

「お邪魔します」 「ど、どうぞ……散らかってますけど」 私は緊張で声がし裏返りながらも、彼女を部へと招き入れた。 靴を脱ぎ、きれいに揃えて玄関の隅に置くその仕は、無駄がなくてどこか品だ。きっと、厳格で丁寧な庭で切に育てられてきたのだろう。

「キッチン、借りるね。

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お腹空いたでしょ? すぐ作るから」 そう言って彼女は際よくエプロンを取りし、慣れたつきで私の狭いキッチンのへとった。 「あ、野菜の切り方、伝いますよ」 「ううん、座ってて。こういうの、案ストレス発散になるのよ」 彼女は楽しそうに微笑み、包丁をトントンとリズミカルにらせ始めた。

私のアパートのキッチンは、リビングと体になったさなカウンタータイプだ。 私はソファに腰掛け、よい包丁の音と、やがて漂ってきたおいしそうな汁の匂いを嗅ぎながら、料理を作る彼女の背をぼんやりと眺めていた。 病院で見せるプロの顔とは違う、の女性としての彼女の姿。 ――なんだか、を見ているみたいだ。

「お待たせ。はい、肉じゃが定!」 ほどなくして、見事な際で作りげられた料理がテーブルのに並べられた。 温かい湯気をてる肉じゃがに、米、お噌汁、そして鉢のえ物。どれも料亭のそれとは違うが、実すような、最に温かそうな料理だった。

「いただきます」 私は箸をに取り、肉じゃがのジャガイモをに運んだ。 「……うまっ!」 がしっかりと染み込んでいて、ホクホクとしたのジャガイモと、柔らかい牛肉の旨いっぱいに広がる。 「本当だ、美しいです!」 「よかった。私、料理は息抜きによくやるの。

でも、こうして自分以の誰かのために作るなんて、暮らしじゃ滅にないから……今はなんだか、すごく楽しかったわ」

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