みかん小説
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"傷だらけの天使" 第2話

さっきまで界がだったのは、目のの裾がび込んできたからだ。そして、転倒したにもかかわらず衝撃や痛みがほとんどなかったのは――。

「うわっ、こ、ごめんなさい……!」 私は、このを着た女性のに、見事に覆いかぶさるように倒れ込んでいたのだ。

「慌てなくていいから。あなた、怪してるんでしょ? ゆっくり起きがって、ゆっくりでいいからね」 そう言いながら、女性は私のからそっと体を抜きし、定な私をしっかりと支えながら起こしてくれた。

「あ、あの、うちの子が……本当に申し訳ありません!」 目のしてきた子供の母親らしき女性が、私の姿を見るなり青ざめた顔で々とげてきた。その女性のをしっかりと握りしめている子供は、何が起きたのかを察したのか、どこか泣きそうな顔で私たちを見げている。

「い、いや、丈夫ですよ。こちらの先がうまく受け止めてくださったおかげで、痛みもありませんしね。でも、ここは病院だから、廊ったりしちゃダメだぞ」 私は母親にニッコリと笑いかけてから、し目線を落として子供の顔を覗き込んだ。 子供は、私の言葉を理解したかどうかは分からないが、ホッとしたようにした笑顔を浮かべ、私に向かってさく親指をててみせた。

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「何かあったらご連絡してください」 そう言って、母親は自分の話番号をいたメモを私に渡し、何度もげながらっていった。

私は子供にを振ってその背を見送ると、改めて、私を助けてくれた目のの女性に線を向けた。 「ありがとうございました……。どこか体を打ったりしていませんか?」 そっと彼女の名札に線を移すと、そこには「野」と綺麗に記されていた。どうやら、この病院の科の医師のようだ。 「私は丈夫よ。あなたは、痛むところはない?」 「いえ、特に私は……」 「そう、よかった。でも、のため診察しましょうね」 彼女はフワリと微笑んだ。その笑顔は息をのむほど綺麗だったが、同に、患者の切許さない「無を言わせぬ力さ」が秘められていた。 「じゃあ、ちょっと待で待っていて」 「あ、あの、本当に丈夫ですから……!」 「ダメよ」 そう言って野は受付の方へと歩きし、ジムの女性と軽く言葉を交わすと、そのままスタスタとそのっていってしまった。

私は仕方なく、ため息をつきながら待子に腰掛けた。 しばらくして名を呼ばれたので、私はおずおずと診察のドアをノックしてに入った。

「待たせてごめんね。みんな、なんだか話がくなっちゃってさ」 そう言いながら、野は疲れたように肩をすくめた。

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確かに、彼女が抱えている患者の数はそうだった。しかし、議なことに、先ほどからこの診察のドアからてくる患者たちは、様に様に穏やかな表を浮かべている。 病院という所は、待ちければいほど患者の満が溜まり、具が悪くなっていくものなのだが……。

「それじゃあ、腕と背を見せてくれる? あと、怪をしてない方のを軸にして、転んだにそっちで無理にかばっていたみたいだからね」 そう言いながら、野は私の体のあちこちを、箇所ずつ丁寧に触診して確かめてくれた。そのにも、「痛くない?」「丈夫?」と、優しい声をかけ忘れない。 待の患者たちが穏やかな顔をしていた理由は、これなのだろう。

「うん、異常はなさそうね。よかった」 「先がしっかり診てくれたおかげです」 「そうならいいんだけど」 野の表が、ふわりと柔らかくほどけた。さっきまで真剣な差しで検査結果のモニターを見つめ、私の体を触診していたの凛とした彼女とは、まるで別のような親しみやすさがあった。

「どうしたの? ぼーっとして」 あまりに見とれていた私を、野議そうに首をかしげて覗き込む。 「え、いえ、な、なんでもないです!」 「そう? じゃあ、今はこれで終わり。また来週、包帯の巻き直しにきてね。

で待っていて」 「はい……」 私はゆっくりとがり、診察の扉を閉めてた。

「あれ? 相馬くん?」

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