"妻の手術日に3000万奪った夫の代償" 第12話
建物内へのち入りは切を禁じます。
警備員の徹な宣告は、たい夜の空気のに氷の矢となって突き刺さった。
を失った。
自分たちが築きげてきたとっていた王国が、砂の楼閣のようにおいとやすく崩れ落ちた瞬だった。
そんな馬鹿な……。
義父の誠が、力なくそのにへたり込む。 義母の雅美は唇をわななかせ、何かを叫ぼうとしたが、声にならなかった。 豪華なエントランスの自ドアが彼らので固く閉ざされ、の温かなはもはや彼らのものではないことを無慈に告げていた。
彼らは、どこへけばいいのかわからなかった。 元にあるのは、モルディブへくために持ってきた、わずかな現だけ。 ブランド物のスーツケースを引きずりながら、は夜のを目もなく彷徨い始めた。
そうだわ、ホテルよ。帝国ホテルなら、私たちの顔をっているはず。
雅美が最のプライドにすがるように叫んだ。 彼らはタクシーを拾い、かつては見栄を張るためだけによく利用していた都内の最級ホテルへと向かった。
しかし、ロビーにを踏み入れた彼らを待っていたのは、馴染みのコンシェルジュの、あからさまに軽蔑しきったたい線だった。
申し訳ございません。結様。今夜は全満でございます。
その言葉が、マニュアル通りの嘘であることは誰の目にもらかだった。
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彼らの周りを宿泊客たちが巻きに眺め、ひそひそと囁きっている。スマートフォンのカメラを向ける者さえいた。
彼らは逃げるようにホテルをびした。
次に頼ったのは、親戚や、かつては友だとっていた々だった。 雅美は震えるで、実の妹に話をかけた。
もしもし。私だけど。今晩だけでいいの、泊めてもらえないかしら……。
『ごめんなさい、お姉ちゃん。うち、今主の両親が来てて。 それに……テレビ、見たわよ。うちとはもう、関わらないでちょうだい』
ガチャリと、方に話は切られた。 誠がの友に話をかけても、結果は同じだった。
誰もが、彼らを疫病神のように避けた。 ニュースは、彼らの社会命を完全に奪いっていたのだ。
完全に孤したが最終にたどり着いたのは、宿の雑居ビルにある営業のサウナだった。 カプセルホテルのような仮眠。いびきと汗の匂いが混じりった、むっとするような空気。 タワーマンションの寝とは、とほどの差があった。
汚れた館内着に着替え、いリクライニングシートにを横たえる。 雅美は屈辱に涙が止まらなかった。 隣では玲奈が、スマホの画面を見ながら声を殺して泣いている。彼女のSNSアカウントは、見らぬ々からの罵詈雑言で完全に炎し、特定班によって過の恥ずかしい投稿まで掘り返されていた。
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そんな活が数続いた。 持ちの現は、あっというに底をついていく。 事はにに貧しいものになっていった。 コンビニのおにぎりつを、で分けってべるもあった。
そして、運命のが訪れる。
飢えと疲労で、もはや正常な判断力を失っていた玲奈が、ふらりとち寄ったコンビニで、魔が差したのだ。 員の目を盗み、菓子パンとジュースをコートのポケットに滑り込ませた。
をようとした、その瞬だった。
ビーーーーーーーーーッ!!
けたたましい防犯ブザーが鳴り響いた。 若いアルバイト員が、血相を変えてびしてくる。
お客さん、ちょっとポケットの、見せてもらえますか!
ち、違う! 私は何も!
玲奈の鳴を聞きつけ、雅美と誠が駆け寄るが、すでに周りにはだかりができていた。 やがて通報を受けた警察官が到着し、玲奈はそので万引きの現犯として警察署へ連されることになった。
パトカーの赤いランプが、の絶望な顔を照らしす。
お母さん! 助けて!
泣き叫ぶ娘の姿を見ながら、雅美はそのに崩れ落ちた。 プライドも見栄も、何もかもが々に砕け散った。
結局、玲奈は初犯ということもあり、厳注ので解放された。 しかし、この事件は彼らのを完全に折るには分すぎた。
その夜。