"「忘れ物」で夫の嘘がばれた日" 第2話
そして、スマートフォンを握り直した。
夫が本当に私を騙しているのなら。
まだ、彼は気づいていない。
計画の番きな提が、もう崩れていることに。
私たちはスーツケースをの押し入れへ隠した。
カーテンを閉め、旅へたのままのをえる。タクシー会社には事を説して帰ってもらい、航空会社とホテルにはひとまずキャンセルの連絡を入れた。
私はそのに、学代からの友で弁護士をしている真理子へいメッセージを送った。
《急ぎで相談したい。健が私の留守にを売ろうとしているかもしれない》
返事はすぐに来た。
《まず証拠をかさないで。見つけた物は写真に撮って。危険をじたらをて》
私はその文章を読んで、しだけ呼吸を取り戻した。
「斎、見てみる?」
子が聞いた。
健の斎は2階の番奥にある。
普段、机の引きしには鍵がかかっていた。族であってもを触られることを嫌がり、「会社の密類が入っている」と言っていた。
ところがその、机の番の引きしには鍵が差したままだった。
きっと私がもうへ乗るとい、気が緩んでいたのだろう。
私はスマートフォンで周囲を撮してから、引きしをけた。
最初にてきたのは、私名義の通帳だった。
「これ……」
私は息を止めた。
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娘の美咲の結婚資を積みてていた座だ。
来、美咲は学代から付きっていた男性と結婚する。派な式ではないが、私は娘がまれた頃から、いつか必になるのためにしずつ貯めてきた。
パート代から1万円。
余裕のあるには2万円。
自分のをしたもあった。
それがなぜ、健の斎にあるのか。
さらに奥から、もう1枚の類がてきた。
婚届だった。
妻の欄には、私の名。
そして見覚えのある印鑑。
「これ、あなたいたの?」
子が聞いた。
私は首を振った。
文字は私の跡ではない。
震えるで証欄を見ると、2の名がかれていた。
1は、佐伯苗。
健の会社の部だ。
そしてもう1。
健の母、つまり私の義母だった。
「お義母さん……」
喉の奥が詰まった。
義父がくなってから、私は義母の通院や買い物を伝ってきた。
正には料理を作り、誕には緒に事へった。
「由美さんがいてくれて本当に助かるわ。あなたは娘みたいなものよ」
義母は何度もそう言っていた。
そのが、私のらない婚届の証欄に名をいている。
私は類を写真に撮った。
「由美」
子の声は震えていた。
「これ、ただの浮気じゃないわよ」
分かっていた。
通帳。
偽造されたとしかえない婚届。
産会社の資料。
旅。
全てが1本の線になり始めていた。
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さらに机の奥から、別のファイルがてきた。
《委任状》
私の名が印字されている。
所しているの売却続きについて、健へ権限を委任する内容だった。
署名欄には私の名。
もちろんいた覚えはない。
私は真理子へ写真を送った。
返事は数分に届いた。
《由美、これはかなり危ない。あなたの署名や印鑑を無断使用した能性がある》
《今は絶対に契約させないで》
《ただし正面から揉めないこと。私もく》
私はスマートフォンを握った。
夫を問い詰めたい衝はあった。
今すぐ話をかけ、
「これは何?」
と叫びたかった。
けれど、それでは健は逃げる。
「らない」
「売るつもりなんてなかった」
「おが勘違いした」
そう言うに決まっている。
私は25、彼が都の悪い話をどうかわすなのか、嫌というほど見てきた。
「待とう」
私は言った。
子が私を見る。
「健が戻ってくるまで?」
「うん」
私は婚届を元の所へ戻さなかった。
通帳も、委任状も自分のバッグへ入れた。
真理子の助言通り、何がどこにあったのか分かる写真だけ残した。
午10を回った。
のは、気なほど静かだった。
そして1023分。
玄関の鍵がから回る音がした。
私は子と緒にへ入った。
音が聞こえる。
1ではない。
健の革靴に混じり、いヒールが廊を叩いていた。
「ああ、やっとていった」
女の声がした。
甘ったるい話し方だった。
けれど私は、その声に聞き覚えがあった。
「本当にかったな」
健が笑った。