"19年間の嘘を暴いた1枚のDNA鑑定書" 第12話
その写真を見るたびに、彼のは憎悪の炎で黒く焦げついていくようだった。
偽りの幸福。欺瞞に満ちた族。 その全てが今、ひどく滑稽に見えた。
夜が更け、敷全体がい静寂に包まれた頃、宗は斎のドアを静かにけた。
彼の音は、獲物に忍び寄る肉獣のようにく、そして静かだった。
彼は階へと続く階段をゆっくりと、歩歩踏みしめるように登っていく。
目指すは夫婦の寝。 何もらずにらかな寝息をてているであろう、妻・美咲の眠る所。
寝のドアのノブにをかけた、彼の臓がきく脈打った。 瞬、ためらいが彼のをよぎる。
だが彼はすぐに首を振り、その迷いを振り払った。
脳裏に、ので泣き崩れる真由の姿と、軽蔑の瞳で自分を見ろす子供たちの顔が浮かびがる。 その記憶が、彼の決を鋼のように固くした。
ゆっくりとドアをける。
キングサイズのベッドので、美咲がシルクのナイトガウンをまとい、穏やかな表で眠っていた。
その無防備な寝顔はまるで使のようにも見えたが、今の宗には毒蛇のそれにしか見えなかった。
宗はベッドサイドに静かにづいた。
そのには、全ての証拠が収められたもうつのUSBメモリが固く握りしめられていた。
彼はそれを、美咲がいつも使っているノートパソコンのポートに、音をてないようにそっと差し込んだ。
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パソコンの源を入れると、デスクトップ画面に美咲がらないはずの画ファイルがつ、自に再されるように設定する。
それはに彼女が男を買収し、真由を陥れる計画を母と笑いながら練っていた、あの忌まわしい音声データの覚化ファイルだった。
彼女が目覚め、このパソコンをいた瞬、自分の罪と対面することになる。
それはこれから始まるい悪の、ほんの序章に過ぎなかった。
宗は眠る美咲の顔を、たい瞳で見ろした。 かつてしたはずのその顔に、今は憎しみ以の何のも湧いてこなかった。
彼は彼女の寝を静かにて、ドアを閉めた。
廊の暗の、宗の瞳は復讐の炎で気なほど赤く燃えていた。
「待っていろ、美咲。そして母さん。おたちが真由に与えた獄を、これから倍にして返してやる」
その呟きは誰に聞かれることもなく、神崎のいのへと静かに溶けていった。
翌朝、京証券取引所がくと同に、神崎グループの株価はまるで滝壺に吸い込まれるかのようにストップまで気に暴落した。
には所の内部報が流れ、投資たちの狼狽売りが殺到。 話は鳴り止まず、本社ロビーには支払いを求める請け業者の号が響き渡り、さながら戦のようだった。
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、神崎宗が野に燃えて築きげた建設帝国は、もはや見るもなかった。
腐臭を嗅ぎつけたハイエナの群れに今まさにい荒らされようとしている瀕の巨獣。 そのれな姿がそこにはあった。
最階の役員会議の空気は、鉛のようにく淀んでいた。
円卓を囲む役員たちの顔には、焦りと満、そして自己保のが濃く浮かんでいる。
彼らは会社をこの窮に陥れた張本である宗を糾弾すべく、を研いでいた。
だがその瞳の奥で燃えているのは、会社を憂う忠誠などではなく、沈みゆくから自分だけはいかにして脱するかという浅ましい計算だけだった。
宗は座に座り、気のない顔で彼らを見つめていた。
瞬きつしていないその瞳は、まるでの全てを諦めてしまったかのように虚ろだった。
彼が信じていた妻は、昨夜のうちに会社の庫から目ぼしい資産を全て持ちし、のペーパーカンパニーへと送した、煙のように姿を消していた。
母・芳は連のショックで倒れ、病院に担ぎ込まれたと連絡があった。
宗の周りにはもう誰もいなかった。
その事実を骨に沁みてじながら、彼は役員たちの容赦ない非難の言葉をただ黙って受け止めていた。
「会、このままでは倒産です。
今すぐ法理を申請するか、さもなくば会ご自の保株を全て売却してでも現を確保すべきです!」