"月8万円の町工場社長" 第9話
言も触れなかった。
精の型検査装置は予定通り展示会へ品され、きなトラブルもなく稼働した。初から複数の商談が入り、会社として最も恐れていた発表延期も避けられたという。俺は展示会へかず、3止めていた社の仕事を取り戻すため、で朝から旋盤を回していた。
10ほど経った頃、精の担当者が浦製作所へ来た。
持ってきたのは期取引契約だった。
契約期3。
発注見込み約8000万円。
の浦製作所の売にい額が、その社だけで追加される計算だった。
さらに材料調達のため、契約始に1000万円の払いを入れる条項まで付いていた。
美代子さんは類を度読み直した。
「社、私30ここにいますけど、こんな条件見たことありません」
からったが、この払い条件を提案したのは子さんだった。
製造業では、仕事が増えれば増えるほど材料を先に買わなければならない。売が倍になるからとんでも、入が2かならさな会社はそのに資で倒れることがある。
子さんは社内会議でこう説したという。
「私たちの装置の臓部を作っていただくです。その会社の資繰りが止まれば、精の産も止まります。これは優遇ではなく、供を守る条件です」
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社も承認した。
契約が正式に決まったの夕方、俺は従業員4を事務所のへ集めた。
4にを畳むと言ったと同じ所だった。
「来から料をげます。それと、今回の3について特別当をします」
美代子さんがずつ額をいたを渡した。
田辺さんは額を見て眉をげた。
「社、すぎねえか」
「3で12個作ったたちへのです。いくらいです」
さんは何も言わずをげ、島は「僕、検査と洗浄くらいしかしてません」と戸惑った。
「おがいなかったら誰が洗って測るんだ。もらっとけ」
島はを握ったまま、へていった。
しばらくして戻った、目が赤かった。
田辺さんは帰り際、俺のところへ来た。
「うちの女な、来から薬が変わるんだ。今よりのかかるやつらしい」
「そうですか」
「でも変えられるってよ。続けられるってことだからな」
それだけ言って、自転で帰った。
俺はしばらくの入にっていた。
3。
800万円を借りた。
料ににわせることだけを考えていた。
そのが。
誰かの薬へ。
子どもの学費へ。
若い職の活へ。
つながっていた。
今度は。
が稼いだで。
同じものを守れる。
俺の借についても理することになった。
税理士と融関へ相談し、もともと会社の運転資として使われた分について正式な会社借入へ組み直した。
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利の借入から優先して返済し、役員報酬も8万円からしずつ戻すことができた。
その夜、俺はでへ残った。
机のには精との契約。
棚のには父の写真。
その横には。
もう引きしへ戻さないことにした。
黒いノート。
「親父。22ぶりに、2回目の仕事もらえたよ」
父は何も答えない。
それでも。
昔より。
返事がないことを。
寂しいとは。
わなくなっていた。
父が言っていた。
「削ってるのは信用だ」
信用とは。
そのが。
いなくなったあとでも。
残るらしい。
22に父が削った12個ほどの部品が。
22。
息子のへ。
仕事を連れてきた。
それは。
売8000万円より。
俺には。
ずっときな話だった。
がけた最初の曜、子さんがへ来た。仕事ではなく、くまで来たから寄っただけだという。俺は械の掃除を断してシャッターのへると、の午の差しので彼女と並んだ。
ずっと聞きたかったことがあった。
「子さん。最初のお見いで言った『格です』って、結局何だったんですか」
「にも申しげましたよ」
「聞きました。でも、もうつある気がして」
子さんはし考えた。
「では、つだけ」
あの、子さんがりたかったのは、その男がおをどれだけ持っているかではなかった。持っているなら何へ使うのか。ないなら、何に使ってなくなったのか。
そののおの流れを見れば、言葉より柄がると母親から教えられていた。