"卒業3か月前に消えた娘" 第4話
「何をそんなにコピーしていたんでしょう」
すみ子が呟いた。
川崎は最のページで指を止めた。
《1017 資料コピー》
その横には額がかれていない。
代わりに鉛でさく、
《確認すること》
とだけあった。
何を確認するのかはかれていなかった。
川崎は役所の資料へ通い始めた。
蓮子が閲覧した能性のある収用資料を、度ごとに冊ずつ調べる。番、鑑定額、補償額、担当課、担当者。
今のように検索すればすぐてくる代ではない。古い簿冊を棚からし、をめくり、必な部分をでメモしていくしかなかった。
数週が過ぎた。
そのも蓮子のがかりはなかった。
末がづき、富にたいがるようになった頃、川崎は古い政資料のから2件の陳記録を見つけた。
どちらも同じ期。
どちらも、蓮子の図に赤い丸がついていた域だった。
内容は補償に関するものだった。
《提示された補償額の算定根拠について説を求める》
《隣のと比較して額に自然な差がある》
正式な調査では証拠分として処理されていた。
川崎は添付資料をめくった。
何かのでは、最初の鑑定額より幅にい補償額が計されていた。方、民側に残る記録と政類の数字が致しない箇所まである。
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川崎の背にい寒気がった。
蓮子がへ言った言葉が蘇った。
《の話を調べていたら、の話がてきた》
陳の最には、当の担当者覧が添付されていた。
川崎はを枚めくった。
そして、を止めた。
補償算定担当。
そこに、見慣れた名があった。
達夫。
しかも担当区域は、蓮子が赤い丸をつけた3か所のうち2か所と、正確になっていた。
川崎はすぐにはちがらなかった。
もう度、補償額の数字を見た。
もう度、担当者名を見た。
そして机のに、蓮子の赤い図を広げた。
卒業論文をいていただけの24歳の学が、この数字のどこまで辿り着いていたのか。
叔父と縁側で向きったあの夜、蓮子は何を確かめようとしたのか。
その答えになるはずの資料だけが、彼女と緒に消えていた。
川崎は陳のを司へ報告した。
だが返ってきた反応は慎だった。
「政の古い苦と、女子の失踪は別だ」
「でも、蓮子さんが調べていた域と叔父の担当区域がなっています」
「それだけで叔父を容疑者扱いできるか?」
できない。
しかも達夫にはアリバイがある。
再び事を聞いても、達夫は落ち着いていた。
「昔の仕事ですから、すべては覚えていません」
「補償額について陳がています」
「政の仕事で満がるのは珍しくないでしょう」
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「蓮子さんから、その件を聞かれませんでしたか」
「ありません」
「本当に?」
達夫は川崎を見返した。
「刑事さん。私が姪の失踪に関係しているとっているんですか」
部が静かになった。
川崎は答えた。
「まだ、何も決めていません」
達夫はく笑った。
「なら、まず蓮子を探してください。兄夫婦は毎晩眠れないんです」
その言葉には反論できなかった。
19963。
富学で卒業式がわれた。
蓮子の名は卒業者名簿になかった。
その朝、すみ子は久しぶりに娘の部のドアをけた。
本棚。
机。
きちんと畳まれた布団。
11の朝とほとんど変わっていなかった。
すみ子は部へ歩も入らず、また静かにドアを閉めた。
「卒業式のが番つらかった」
にすみ子はそう語る。
「帰ってこないことは分かっていたのに、あのだけは、もしかしたら玄関から『ただいま』って入ってくるんじゃないかとったんです」
方、捜査は徐々に縮された。
しい報がない。
目撃証言もない。
座からきながいた形跡もなく、類が量に持ちされた様子もない。
事件性を示す決定なものもなかった。
達夫は以にも増して兄へ顔をすようになった。
父・茂が腰を悪くして入院したには費用の部を負担し、正にはを料理へ招待した。蓮子が姿を消した11になるとを持って現れ、すみ子が泣けば黙って背をさすった。
その姿を見て、族の誰が疑えただろう。
「達夫さんがいなかったら、あの期を乗り越えられなかったとう」