"妻を崖から突き落とした義家族と300億円の婿" 第13話
それら全てを支えている命綱を、私がいつでも切れる状態で握っているのだ。
彼らは今頃、邪魔な娘を排除し、会社を独占できると信じて美酒に酔っていることだろう。
だが、彼らが築きげた砂の楼閣は、あと数分で完全に崩れる。
やがて窓の景がから閑静な級宅へと変わった。
い垣のにある広な敷が見えてきた。
垣と派な構えを持つ、吉実の豪邸だ。
私はのしで肩にを止めた。
「あんな、着いたよ」
私が優しく肩を揺する。
あんなは目を擦りながらゆっくりとを起こした。
「パパ、おじいちゃんのお?」
「そうだよ。ここからはパパが事なお仕事をするから、あんなは静かに見ていてくれるかい?」
「事なお仕事を?」
「ああ。ママをいじめた悪い虫を、パパが全部退治するんだ」
あんなはがよくわかっていないようだった。
だが、私の真剣な目を見てこくりと頷いた。
私はをりるに、部座席にを伸ばした。
ゆいから託された宝くじの箱を膝のに置いた。
プラスチックの表面には細かい傷が無数にある。
彼女の過酷な活を物語っている。
私はこの箱をどう使えば義父たちの嘘を暴けるのか、じっと考えを巡らせた。
ただの空箱ではないはずだ。
ゆいは「これがあれば」と確かに言った。
私は箱の蓋をけた。
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に残っていた数枚の売れ残りの宝くじを取りした。
箱の内側は空っぽで、特に変わったところはないように見えた。
しかし、箱の底に敷かれているい布に指が触れた。
私のはぴたりと止まった。
布のに、何かくて角いさなものが隠されている触があったのだ。
布の端をよく見ると、素のによる粗い縫い目で底板に縫い付けられている箇所がある。
私は息を詰めた。
その縫い目を指先で慎に解き始めた。
ゆいが半、誰にも見つからないように、命と引き換えにして守り抜いた決定な秘密。
それが今、私のによってかれようとしていた。
内に差し込むい差しを背に受けながら、私は宝くじの箱の底に指先をわせた。
粗い縫い目で固定されたい布を、傷つけないように慎に解いていく。
ゆいが半、誰の目にも触れさせまいと必に隠し続けてきたもの。
布がペロリと剥がれた瞬、そのに隠されていたものの正体がらかになった。
それは黒いプラスチックで作られた、親指ほどのきさの型ボイスレコーダーだった。
表面には細かな擦り傷がある。
何度もく握りしめられたような痕跡が残っている。
私は息を詰めた。
震えないように指先に力を込めて、そのさな械をつまみげた。
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これこそが、義父たちがひた隠しにしてきた完全犯罪の真実を暴く、唯の鍵に違いない。
私はボイスレコーダーの側面にある源ボタンをゆっくりと押しした。
しかし数秒待っても、さな液晶画面は暗いまま何の反応も示さない。
無理もないことだった。
半もの、充もされずに箱の底に隠されていたのだ。
バッテリーが完全に切れているのは当然だ。
私は焦る気持ちを抑えた。
ダッシュボードからスマートフォンの充ケーブルを取りした。
幸いにも端子の形状が同じだった。
のUSBポートに繋いで通させる。
数秒の沈黙の、液晶画面が青いを放ち始めた。
バッテリーの充マークが点滅し始めた。
私は堵の息をく吐きした。
システムの起を待つ。
画面に表示された録音データの件数は、たったの1件だった。
録音された付を見る。
ゆいが姿を消した、半のあのの夜を示している。
ゆいは義父に呼びされ、殺されるかもしれないという直を抱きながら、とっさにこのスイッチを入れていたのだ。
彼女の聡さと、きるための執が、このさな械に全て込められていた。
「パパ、それなに?」
助席に座るあんなが、議そうに首を傾げて画面を覗き込んできた。
「これはね、ママがパパに渡してくれた、とても切なおの代わりだよ」
私はあんなに優しく微笑みかけた。
鞄のからワイヤレスイヤホンを取りした。