"妻を崖から突き落とした義家族と300億円の婿" 第11話
私の言葉に、話の向こうで佐々が息を呑み込んだ。
通話を切った。
に戻ると、ゆいがそうな顔で私を見げていた。
「誠君、誰と話していたの?警察に話したならすぐに逃げないと」
「警察じゃない。君を全に京の病院へ運んでくれる、信頼できるを配したんだ」
私は彼女をさせるために、できるだけ穏やかな声で嘘をついた。
私がファンドの代表であるという真実は、全てが終わったにゆっくりと話せばいい。
今はただ彼女にを与えることだけが必だった。
「京の病院……でも、あんなはどうするの?」
ゆいの線が、助席で静かに私たちを見つめているあんなに向けられた。
「あんなは俺と緒に吉実へ連れてく」
私がそう告げると、ゆいの顔面から再び血の気が引いた。
「だめよ!あの悪魔たちのところへあんなを連れてくなんて、殺されてしまうわ!」
ゆいはパニックになりかけ、痛む体を引きずって起きがろうとした。
私は彼女の両肩を優しく、しかし力く押さえて制止した。
「落ち着いて聞いてくれ、ゆい。義父たちは、俺が今あんなを連れてくることをっている」
ゆいは息を荒げながら、私の言葉の続きを待った。
「もし俺が予定をキャンセルして姿を消せば、彼らは必ず警戒し、自分たちの罪を隠滅するためにきすだろう。
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彼らを完全に逃げのない所へ追い込むためには、俺が何もらない無能な婿のふりをして、予定通りに罠のへ入っていく必があるんだ」
ゆいは私の言葉の真を理解しようと、じっと私の目を見つめた。
「でも、誠君に何かあったら……あんなが傷つけられたら……」
「絶対にそんなことはさせない。俺の命に代えてもあんなを守り抜く」
私はゆいの細いを両で包み込んだ。
決を込めてく握りしめた。
「全てを終わらせて、必ず君を迎えにく。だから俺を信じて京で待っていてくれ」
私の真っすぐな線を受け止めたゆいは、やがて震える唇を噛み締めた。
ゆっくりと頷いた。
「分かったわ。あなたを信じる」
それから30分、サイレンを鳴らさない1台のい民救急が、駐の隅に滑り込んできた。
佐々の配の速さと正確さには、いつもながら舌を巻く。
からりてきた数の医療スタッフは、無駄のないきでゆいをストレッチャーに乗せた。
彼らは私に礼した。
「ご族の全は、々が命に代えてもお守りします」
声で告げた。
それは佐々から特別な指示を受けている証拠だった。
「ママ、いってらっしゃい。く元気になってね」
あんながさなを振る。
ストレッチャーに乗せられたゆいも、涙ぐみながらを振り返した。
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「あんな、パパの言うことをよく聞いていい子にしてるのよ」
ゆいを乗せた救急は、ゆっくりと駐を発した。
やがての向こうへと姿を消した。
彼女が京の青葉病院に到着すれば、義父たちの汚いが届くことは2度とない。
私はの助席にあんなを乗せた。
シートベルトをしっかりと締めた。
「パパ、ママに会えてよかったね」
あんなが無邪気な笑顔で私を見げている。
「ああ、そうだな。ママはこれからお医者さんに診てもらって、きっと元気になるよ」
私はあんなのを撫でた。
運転席に乗り込み、ドアを閉めた。
内に静寂が戻るとともに、私のに残っていた最の迷いやが完全に消えっていくのをじた。
する妻の全は確保された。
これでもう、ろを振り返る必はない。
私はスマートフォンを取りした。
再び佐々へメッセージを送信した。
『処刑の準備を始めろ。私が図をすまで絶対に悟られるな』
送信ボタンを押した瞬、私のので、ただの優しい夫としての私が完全にんだ。
残されたのは、圧倒な権力と財力で、のクズたちを社会の底辺へ叩き落とすための酷な志だけだ。
私はエンジンをかけた。
義父たちが待ち受ける豪邸へと向けて、静かにアクセルを踏み込んだ。
をる内には、エアコンの微かな駆音だけが響いていた。
助席のチャイルドシートでは、あんながしたように寝息をてている。