"300億円が消えた結婚式" 第4話
」
それで終わりだった。23、このはこの1点だけは絶対に譲らない。麦茶をみながら、兄がいしたように言った。
「そういえば、このえりさんのお父さんに言われたよ。料の振り込み先をうちのに移してくれって。」 「へえ。」 「あと、関連会社の保険にも入ってくれって。」 「まだ結婚してないよね。」 「まあそうだけどな。」
兄は笑った。向こうからしたら内は内なんだろ。
内。あのはその言葉を自分に得のあるだけ使う。私はそうった。っただけでにはさなかった。
兄は結局翌週に与の振り込み先を央の支へ変えた。22ずっと同じ都だったのに、と言いながら、変えた理由については何も言わなかった。
央という名は、兄にとって初めての名ではない。名建材の取引がそこだからだ。倉庫の資材の代も請けへの支払いもあのを通る。兄はの窓に22通っている。
帰り際は兄が机の引きしをけて印鑑を探していた。引きしの奥に茶い封筒がててあるのが見えた。
「それ何?」 「ああ、これか。」
兄は封筒を引きしから半分だけ引きしてすぐ戻した。
「おの会社の最初の借り入れのだ。」 「まだ持ってるの?」 「捨てる理由もないだろ。もう終わっただけどな。」 「終わった。」
兄はそう言った。
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私はその「うんとだけ答えた。式まではまだ4ヶくあった。悪いたちではないという兄の言葉が、私にとって番答える言に変わるまで、そうはかからなかった。
えりさんと初めて会ったのは75だった。兄が選んだは駅の裏にある定だった。カウンターが6席とテーブルが3つ。壁にきの品きが貼ってある。の創業の娘を連れてくるではないと私はった。った自分をで恥じた。
えりさんは先に来て座っていた。ちがってをげたは、像していたよりずっと柄だった。に焼けている。
「園部えりです。琢磨さんには本当にお世話になっています。」
声がかった。緊張していたのだとう。
「柏未令です。兄がいつもお世話になっています。」 「いえ、私の方こそ……」
そこで2とも黙ってしまい、兄が笑った。
「似たもの同士だな。2ともげるのがい。」
えりさんが吹きした。その笑い方で私はこのが好きになった。
事の、えりさんはの話をした。2がりったのは2ので、会社の同僚に誘われて入った登のサークルだったという。屏ので、えりさんはりでをひねった。
「あの、琢磨さんが自分のリュックをに預けて、私の荷物を背負ってくれたんです。」 「あれは荷物が軽かっただけだ。
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」 「かったですよ。が4本入ってたじゃないですか。」 「4本? 3本だ。」 「4本です。私数えましたから。」
兄が言い負かされている。私はそれを見ているのが嬉しかった。
「その、誰も私の名を聞かなかったんです。」
えりさんはお茶を両で持ってそう言った。
「サークルのたちはみんな私のことをってたから。園部の娘だって。だから名じゃなくて、『園部さん』、園部さんって呼ばれるんです。20ずっと。」
兄はなんて呼んだんですか?
「えりさんって呼んでくれました。最初から。」
それだけのことだ。それだけのことがこのにはずっとなかったのだと分かった。
「実のことを最初に言わなかったのは私が悪いんです。」
えりさんは膝ので指を組んだ。
「言ったらまた名を呼んでもらえなくなるとって……」 「謝らないでください。でもそのせいで、琢磨さんが……」
えりさんは箸を置いた。
「兄はをげるを放っておけないです。だからあなたが謝るほど兄はけなくなります。」
えりさんが顔をげた。目が赤かった。
その、えりさんは1つだけ聞かなくてもいいことを話した。園部ので、兄は名で呼ばれていないのだという。
「母は『あの』と言います。父は『あの男』。兄のでも……いや、本がいるは『柏さん』です。」
使い分けができるということは、分かってやっているということだ。
私はその夜ホテルに戻ってから、帳にそれをいた。
75。えりさんに会う。園部では兄は名で呼ばれていない。