"離婚後、義母のカードを止めました" 第1話
「ちょっと、このクソ女! どういうことよ。なんで私のカードが使えなくなってるの!」
鼓膜を突き破りそうな切り声で、私は眠りから引き戻された。枕元の計は午27分を示しており、カーテンを閉めた寝にはスマートフォンの青いだけが浮かんでいる。画面に表示されていたのは《森子》という、3までなら「お義母さん」と呼ばなければならなかった女の名だった。
私はベッドから起きがり、隣のリビングへ移った。ダイニングテーブルのには、役所で受理された婚届の控えと、弁護士から渡された数枚の類が封筒に入ったまま置かれている。5の結婚活が、本当に終わったことを証するだった。
話の向こうでは、子がまだ何か叫んでいた。背景から聞こえてくる波の音と音楽で、彼女が今もハワイの級ホテルにいることが分かった。今回の旅は8泊10で、航空券もホテル代も、現で使うカードも、すべて「息子夫婦からのプレゼント」ということになっていた。
もっと正確に言えば、そのカードは私の名義だった。
結婚当初、健から「母さんが旅のだけ使えるようにしてほしい」と頼まれて作った族カードだった。利用代は私の座から引き落とされ、健がで計に補填するという約束だったが、いつのにか子は、事、化粧品、友との旅にまで使うようになっていた。
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そして婚成の翌朝、私はカード会社へ話した。
族カードをすべて解約したのである。
「聞いてるの、涼子! さっきブランドショップでバッグを買おうとしたら、カードが通らなかったのよ。員にも友達にも笑われたじゃない!」
私は蔵庫からをし、グラスへ注いだ。以の私なら、子の声を聞いただけで胃がくなり、何も悪くなくても「すみません」と謝っていただろう。だが今夜は、議なほどが静かだった。
「すみません」
「あら、やっと分かったの? だったら今すぐ――」
「どちら様ですか?」
話の向こうが静まり返った。
「……は?」
「ですから、どちら様でしょうか」
数秒の沈黙のあと、子の呼吸が急に荒くなった。
「何を寝ぼけたこと言ってるのよ。私よ。あなたのお義母さんでしょう!」
「申し訳ありませんが、私には義理の母親はいません」
そこまで言うと、自分でも驚くほど胸が軽くなった。3まで喉につかえていた何かが、ようやく取れた気がした。
子は当然、を理解しなかった。
「ふざけるのもいい加減にしなさい。健とちょっと喧嘩したくらいで、親まで扱いするなんて。これだから卒の女は常識がないのよ」
また、その言葉だった。
卒。
結婚して5、子が私を黙らせるために最もよく使った言葉だった。料理のがいと言われたも、洗濯物の畳み方を直されたも、親戚の集まりで席順を違えたと言われたも、最には必ずその言がついてきた。
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私はグラスを置き、婚届の控えへ目を落とした。
「子さん。もう度だけ申しげます。私は3、健さんと正式に婚しました」
「……婚?」
「はい。役所にも受理されています」
「そんなの、健が許すわけないでしょう!」
「許すも何も、本が署名しましたから」
私はしの来事をいした。婚届に署名した、健は私が本気でをるとはっていなかった。「どうせ数したら泣いて戻ってくる」とで笑い、財産の理にもほとんど興を示さなかった。
その自信がどこから来ていたのか、今でも分からない。
「嘘よ。健は流企業の社員なのよ。あなたみたいな女が捨てられることはあっても、健を捨てられるわけがないでしょう」
「その流企業というのは、央商事のことですか?」
「当たりでしょう」
子の声に、再び得げな響きが戻った。
「先だってきな案件を成功させて、社賞をもらったって言ってたわ。写真も見せてもらったもの。あなたはらないでしょうけど、あの子は次の課候補なのよ」
私は目のに置いてあった別の封筒を引き寄せた。
そのには、央商事から発された枚の証が入っている。
「子さん」
「何よ」
「健さんは、もう央商事の社員ではありませんよ」