"息子の婚約者の母は、20年前の女だった" 第11話
恵子のが止まる。
「られないように、嫌われないように、ずっと顔を見てきた。学もも友達も、お母さんがぶものを選ばなきゃいけないとってた」
苗は涙を拭った。
「自分が何を好きなのかも分からなくなってた」
恵子は何か言おうとした。
「でも健さんに会って、初めて自分で選びたいとった」
健が静かに苗を見守っていた。
「だから私はもう、お母さんのためにきません」
「苗……」
「お母さんがこれからどうなるかは分からない。でも、自分がしたことから逃げないで」
恵子の顔が歪んだ。
「私を捨てるの?」
「違う」
苗は首を横に振った。
「私は、自分のを取り戻すの」
そしてくをげた。
「今まで育ててくれたことは謝しています。でも、それと今回のことは別です」
恵子は泣き崩れた。
「苗……」
娘へを伸ばす。
しかし苗はそのを取らなかった。
「さようなら、お母さん」
その言葉は、鳴り声よりかった。
誠が静かに恵子の腕へを添えた。
「くぞ」
恵子はもう抵抗しなかった。
ちがる元はふらついていた。
数まで、ブランド品をにつけ、私を見していた女とはえなかった。
誠は私と健へくをげた。
「本当に申し訳ありませんでした」
そして苗を見る。
「苗のことを、どうかよろしくお願いします」
健が答えた。
「僕が守ります」
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誠はさく頷いた。
恵子と誠が個をていく。
扉が閉じた。
その音が、かった20の終わりのように聞こえた。
元夫もすでに帰っていた。
彼がる、私は度も振り返らなかった。
健も同じだった。
私たちのに、もう彼は必なかった。
個には、めた国茶と、ほとんどのつけられていない料理が残っていた。
私はきく息を吐いた。
胸の奥に20残っていた黒い塊が、ようやく溶けたような覚だった。
「終わりましたね」
弁護士が言った。
「はい」
私はくをげた。
「先、本当にありがとうございました」
「私はし伝っただけですよ」
弁護士は笑った。
「20から今まで、ここまで来たのはゆみさん自です」
私は健と苗を見た。
苗は健の胸元で静かに泣いていた。
健は何も言わず、その背を優しく撫でていた。
私はその姿を見ながらった。
あのの。
5歳だった健が、私の涙をさなで拭いてくれた。
その子が今、切なを守ろうとしている。
私は何も失っていなかった。
むしろ、守り続けたものがこんなにきく育っていた。
窓のを見ると、朝からっていたは止んでいた。
の隙から、の差しが差し込んでいる。
円卓のグラスがを受け、静かに輝いていた。
その、恵子をめぐる問題は正式な続きへんだ。
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健の名義でめられようとしていた融資は止まり、座からがくこともなかった。
誠の会社についても、経理と顧問側で調査がわれ、これ以の被害を防ぐ措置が取られた。
誠は婚のを変えなかった。
苗も母親とは距を置くことを決めた。
私は詳しい処分について自分から追いかけることはしなかった。
恵子が今どう責任を取るのか。
それは彼女自の問題だった。
私にはもう、彼女のを見続ける理由がなかった。
方、誠は苗とをかけて話すようになった。
「仕事ばかりで、おが母親に苦しめられていることに気づかなかった」
父親としてをげたという。
苗も初めて、自分がどれほど母親を怖がっていたかを話した。
血のつながった親子でも、言葉にしなければ伝わらないことがある。
誠と苗は、失ったをすぐに取り戻したわけではない。
それでもしずつ、父と娘として向きい始めた。
そして半。
桜が満になる頃、健と苗は結婚式を挙げることになった。
結婚式は、派なものではなかった。
勢を招く豪華なホテルでもなく、緑に囲まれたさなチャペルだった。
健の病院の同僚。
苗の親しい友。
誠。
そして私。
本当に2を切にうだけが集まった。
純のウェディングドレスを着た苗は、とてもきれいだった。
以のように母親の顔をうかがう表はない。
自分で選んだドレス。
自分で選んだ髪型。