"息子の婚約者の母は、20年前の女だった" 第9話
バッグから1枚のを取りし、円卓へ叩きつけた。
誠の会社の負債に関する資料だった。
「5000万円用しなさい」
誰もかなかった。
「それで私の借を全部片づけるの。医者なら、しくらい無理すれば払えるでしょう」
苗の顔から血の気が引いた。
娘の結婚を、自分の借返済へ利用しようとしている。
「ふざけるな!」
誠がちがった。
「苗はおの所物じゃない!」
「うるさい!」
恵子も叫び返した。
「あなたなんて私がいなければ何もできなかったくせに!」
弁護士が静かにをいた。
「恵子さん、その発言も含めて、ここから先は慎にお話しください」
彼は別の類を取りした。
「誠さんの会社側では、正式に被害の理を始めています」
面には誠の署名があった。
恵子が目を見く。
「あなた……私を訴えるつもりなの?」
誠はまっすぐ妻を見た。
「妻だからこそ、終わらせる」
「何言ってるの」
「会社のと信用を勝に使った。社員とその族まで危険にさらした。もう夫婦喧嘩で済む話じゃない」
そして誠はもう1枚、用を取りした。
婚届だった。
恵子の唇が震えた。
「何よ、これ」
「婚する」
「冗談でしょう?」
「冗談じゃない」
誠の声に迷いはなかった。
「カードもすでに止めた。会社名義の権限もす。これ以、俺の会社も娘も利用させない」
恵子は子にへたり込んだ。
だが次の瞬、苗へを伸ばした。
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「苗、あなたからも何か言ってちょうだい。私が警察汰になったら、あなたまで犯罪者の娘って言われるのよ。結婚だってできなくなるわよ」
苗はゆっくり首を横に振った。
「それでもいい」
恵子が目を見いた。
「私はお母さんをかばいません」
「苗!」
「健さんが私と別れたいと言うなら、そのは受け入れます。でも、それとお母さんがしたことは別です」
健が苗のを握った。
「僕は別れない」
苗が振り返る。
「君のお母さんが何をしたかと、君がどんなかは別の話だから」
苗の目から涙がこぼれた。
恵子は周囲を見回した。
夫も。
娘も。
健も。
誰も自分の方をしない。
そのだった。
恵子の目が私へ向いた。
「あんたのせいよ」
い声だった。
そして突然ちがり、こちらへ向かおうとした。
弁護士がすっとへ入った。
「責任転嫁はやめましょう」
恵子は歯をいしばった。
「私は悪くない。20だって、あの男が勝に私を選んだだけよ!」
その瞬、個の扉がいた。
「やっぱり、おは何も変わっていないな」
かすれた男の声だった。
私はその声を聞いた瞬、体が固まった。
入にっていたのは、くたびれたスーツを着た初老の男だった。
髪にはいものが混じり、背もし丸くなっている。
顔にはい皺が刻まれ、20の面はほとんど残っていない。
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それでも私は、目で分かった。
健も息をんだ。
私たちを捨てた男。
私の元夫。
健の実の父親だった。
「あ、あなた……」
恵子の声が裏返った。
元夫はゆっくり部へ入った。
「俺が20、どんな活をしてきたか。そして、おが何をしたか。それをここで話すためだ」
私は弁護士を見た。
彼が呼んだのだとすぐに分かった。
「私が連絡しました」
弁護士が静かに説した。
「20、ゆみさんから相談を受けた当の記録を確認し、関係者へ連絡を取りました」
元夫はテーブルのへった。
恵子を見ながら、疲れた声で話し始めた。
「俺は馬鹿だった」
20。
恵子は元夫へ、「奥さんと別れれば自由になれる」「もっといい活ができる」と何度も言ったという。
当、元夫は親から相続したと、ある程度の貯があった。
「俺は、おが俺をしているとっていた」
元夫は自嘲するように笑った。
「でも違った」
私と健をから追いした直、恵子はの権利や通帳を持ちした。
さらに夫からを引きし、自分のために額なものを購入した。
やがてが減ると、恵子は元夫のから姿を消した。
「俺が欲しかったんじゃない。俺のとが欲しかったんだ」
誠が信じられない顔で恵子を見た。
「そんなことまでしていたのか」
「嘘よ!」
恵子が叫ぶ。
「このが勝に私へ貢いだだけ!」
元夫はポケットから古い写真を取りした。
若い頃の恵子が、級ので笑っている写真だった。