"息子の婚約者の母は、20年前の女だった" 第7話
話の向こうが静かになった。
「警察への相談も考えています。の印鑑を無断で持ちし、勝に融契約へ使ったがいるのなら、きちんと調べていただく必がありますから」
『警察……?』
恵子の声が急にさくなった。
「当たりのある方が、自分から返してくださればいいんですけれどね」
『ふざけないでよ! 私には誠の会社があるのよ。あなたみたいなが弁護士をてたところで、どうにでもなるわ!』
がっていた。
けれど声は震えていた。
私は静かに言った。
「では、曜のお事会でゆっくりお話ししましょう」
そして話を切った。
その数、夜勤を終えた健が帰宅した。
夕の途、彼が箸を置いた。
「お母さん、僕からも話がある」
「何?」
「今、苗と会った」
健はポケットからさな黒い帳を取りした。
「これ、恵子さんの帳らしい。苗が持ってきた」
私は目を見いた。
「どうして?」
「弁護士の通が届いて、恵子さんが部を散らかしながら話しているに見つけたって」
帳をく。
そこには恵子自の字で、いメモがいくつも残されていた。
借。
誠の会社。
健。
保証。
老資。
そして、目を疑うような文。
《あの医者を使えば借は片づく。誠の会社も使える。私は老だけ確保できればいい》
私は帳を閉じた。
恵子の目は、単なるな策ではなかった。
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自分だけが逃げ切ること。
そのためなら夫も娘も、健も犠牲にするつもりだった。
「苗は?」
私が聞くと、健は目を伏せた。
「泣いてた。でも最に言ったよ。『自分ので母を止める』って」
私は胸がくなった。
苗はもう、恵子の言いなりになる娘ではなくなり始めていた。
決戦の曜がづくにつれ、状況はさらにいた。
事会当の朝、私は落ち着いたの訪問着へ袖を通した。
健が初めてまとまった料をもらった、「お母さんもたまには自分のために使って」と買ってくれたものだった。
鏡のでを引く。
は震えていなかった。
午10。
をようとした、スマートフォンにメッセージが届いた。
差は誠だった。
《突然のご連絡申し訳ありません。妻の恵子のことで、どうしても確認したいことがあります。事会のにしおをいただけないでしょうか》
私はち止まった。
恵子の夫である誠自が、何かに気づき始めている。
指定されたホテルのラウンジへ向かった。
午11。
奥の席で待っていた誠は、私を見るなりちがり、くをげた。
顔わせのとは違い、疲れた表だった。
「お祝いの席のに、こんなお話をして申し訳ありません」
「どうぞ、お座りください」
コーヒーが運ばれてから、誠はいをいた。
「数、会社の経理担当から連絡がありまして」
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会社名義で、審な融資申請があった。
確認すると、社内で管理しているはずの類の部と印鑑が勝に使われている形跡があったという。
「調べたところ、妻が持ちしていたようです」
誠は両をく組んだ。
「本へ聞いても、『の事業を助けるためにし名を貸しただけ』としか言いませんでした」
さらに会社の顧問税理士が確認した結果、恵子個にも額の借があることが分かった。
そして保証関係の類に、健の名が使われている形跡もあった。
誠はくをげた。
「本当に申し訳ありません」
私はハンドバッグから茶い封筒を取りした。
「実は、こちらでもすでに確認をめていました」
誠が顔をげる。
私は興信所の報告とATM細、健の実印が消えた経緯、融業者への続きが止まったことを説した。
誠は何度も額へを当てた。
「まさか……」
「誠さん」
私は静かに言った。
「今の事会に、弁護士に同席していただきます」
「弁護士?」
「健と苗さんを守るためです。そして、誠さんの会社を守るためでもあります」
誠はしばらく黙っていた。
やがてく息を吐き、頷いた。
「分かりました。私も、もう見過ごせません」
正午く。
私と誠は緒に華レストランへ向かった。
個のから、恵子のい笑い声が聞こえた。
「健さんはお医者様ですから、本当に将来ですわね。
苗にはしっかり庭を守ってもらわないと」