"合格発表の日、父は消えた" 第10話
千は、仕事を通じてくの若者を見てきた。
親の収入が減り、専学を辞めたアルバイト。奨学の返済が怖くて、学を諦めた。族の介護を理由に、希望するへけなかった社員もいた。
相談を受けても、千には制度の識がなかった。
「頑張れば何とかなる」と励ますことしかできず、その言葉が父と同じ無責任さを持つようにじることがあった。
千は学の社会向け講座を調べ、週末とオンライン授業で社会福祉を学べる課程を見つけた。
入学試験を受けることを決めた。
仕事を辞めず、4以かけて学ぶ予定だった。司や研究者になるためではなく、学や活に困る若者を支える制度をるためだった。
願をく夜、千は叔母のから話を受けた。
「学へくと聞いたわ」
「美咲さんから聞いたの?」
「正彦さんからよ。学費は丈夫なの?」
20と同じ質問だった。
しかし千は、落ち着いて答えた。
「自分で払える範囲を計算した。職の支援制度も調べた。無理なら休学する」
「私がししてもいいのよ」
「ありがとう。でも今は受け取らない」
は黙った。
「私を許せないのね」
「今の話に、許すかどうかを混ぜないで。学費をすことと、20のことは別だから」
はい沈黙のあと、分かったと答えた。
千は叔母との関係を切らなかった。
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しかし、老いたが謝ったからといって、自分がすぐに慰める役目を引き受けることもしなかった。
父の遺骨は、群馬県の寺から川越内の墓へ移された。
納骨の、美咲と藤井も参列した。は墓で何度も謝ったが、正雄から返事が来ることはない。
千は黄いチューリップを1本だけ供えた。
「お父さん、格したに帰ってこようとしてくれたことは分かった」
墓ので、静かに語りかけた。
「でも、美咲さんの名のことを私に相談しなかったのは違いだったとう。私を守ろうとして、全部1で解決しようとした。そのせいで、私は何も選べなかった」
がの細い茎を揺らした。
「だから今度は、自分で決める。お父さんのためではなく、私が勉したいから学へく」
謝罪も許しも、にしなかった。
父が娘をしていたことは分かった。
同に、していたから何をしてもよかったわけではないことも、忘れないつもりだった。
翌3、千は社会入試に格した。
結果は学のウェブサイトで発表された。20のように予備の掲示板へ番号を探しにく必はなく、自宅のパソコンで受験番号を確認した。
画面に自分の番号を見つけても、千はすぐには実できなかった。
度画面を閉じ、もう度いた。受験票を机へ置き、番号を指でなぞった。
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そのあと、最初に連絡したのは勤務先だった。
司へ格を報告し、週末の勤務調について相談した。次に正彦へ話をかけ、最に美咲へいメッセージを送った。
父に話をかけることはできなかった。
それでも千は、練習帳をき、黄いの絵へ報告した。
「格したよ。今度はちゃんと、自分で学費も期限も確認した」
の入学式には参加しなかった。
働きながら学ぶ学向けの説会へ席し、そのまま午からスーパーへ戻った。売りでは入社員が商品の所を違え、値札の修正に追われた。
特別ななのに、夕は駅で買ったおにぎりだった。
しかし千には、それがよかった。
20の続きを演じる必はない。
黄いチューリップを持って父を待った女へ戻らなくても、しい学びを始められる。
瀬の調査、京部学と複数の支援団体は、奨学申請に第者の確認を入れる制度を作った。学や塾の担当者だけが、徒の個報とを管理しないためだった。
美咲は施設の子どもたちへ、支援を受ける際には自分で類を読み、分からない部分を複数のに確認するよう教えるようになった。
「が助けると言っても、自分の名を渡してはいけない」
それが彼女の癖になった。
は、正雄からの話について面に残し、警察へ提した。
自分の嘘が弟と姪を引きしたことも、親戚に説した。