"合格発表の日、父は消えた" 第7話
話の正雄は、ろれつが回らず、言葉も途切れていた。
それでもには、弟の声だと分かった。
「千の類を守ってくれ。瀬が取り替えた」
正雄は何度もそう繰り返した。
「学へ話して、千は辞退しないと伝えてくれ。俺は今から病院へく」
は弟がきていることに堵した。しかし同に、抑えていたりが込みげた。
彼女は正雄へ800万円いを貸していた。
妻をくした弟と姪を助けたいとい、夫に内緒で自分の貯まで渡した。それでも正雄は夜勤を続け、さらに娘を私学へ学させようとしていた。
入学すれば、4の学費だけでなく、通学費や教材費も必になる。
は、正雄がまたを頼んでくると考えた。
「千は、もう学へかないと言っている」
は話で嘘をついた。
「おが学費を払えないとって、全部嫌になったそうだ。帰ってきてほしくないとも言っている」
正雄はしばらく黙った。
「本当に、千がそう言ったのか」
「そうよ。あの子も借のことをった。もう父親だとえないって」
話は途で切れた。
は、正雄が病院へき、数には戻るとっていた。をやすためにも、し距を置いたほうがよいと考えたという。
翌朝、警察から正雄の報がないと聞いても、話のことを話さなかった。
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弟が自分ので姿を消したなら、これ以捜索にをかける必はないとった。
千にも、父から話があったことを隠した。
「お父さんは、あなたの学費が用できなくて逃げたのよ」
はそう説し、学を辞退するよう勧めた。
千は入学の期限が3だとっていた。正しい期限と分納制度についてらないまま、格を諦めた。
「どうして20、黙っていたの」
千が問い詰めると、はを握りしめた。
現73歳になったは、夫をくし、で暮らしていた。正雄のことを尋ねられるたび、川で方が分からなくなったと同じ説を繰り返してきた。
「最初は、数で戻るとっていたの」
「戻らなかった点で、警察に話せたでしょう」
「話のことを話せば、私が嘘をついたことも分かる。あなたが学を諦めたのも、私のせいだと言われるとった」
「実際、そうでしょう」
「私はあなたたちを助けたかったのよ。正雄がこれ以借を増やせば、みんなが幸になるとった」
千は叔母の目を見た。
「それなら、父と私に本当の学費や借を見せて、話しわせればよかった。どうして私の言葉まで勝に作ったの?」
は答えられなかった。
彼女もまた、自分が族のために正しい選択をしているとっていた。
学を諦めれば借が増えない。
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正雄がしばらく帰らなければ、千も父に頼らず働くようになる。弟もどこかでしくを始められる。
しかし、その判断をする権利はにはなかった。
「父は、公衆話からどこへったの?」
「病院へくと言っていた。でも、どこの病院かは聞かなかった」
宮は公衆話周辺の記録を調べた。
200339の午3ごろ、国沿いで倒れている男性をトラック運転が発見していた。男性は部にけがを負い、元を証する物を持っていなかった。
正雄の齢や体格と致する。
しかし男性が収容されたのは、失踪現から県境を越えた群馬県内の病院だった。当の報共は現ほどくなく、元者の照会は県内がだった。
病院から警察へ提された男性の特徴には、《黒いズボン、いシャツ、靴なし》と記載されている。
正雄が失踪に着ていた着と靴は、タクシーと川敷から見つかっていた。
男性は自分の名を答えられず、を渡されても、震える線しかけなかった。
ただつ、《ちはる》という言葉だけを繰り返していた。
群馬県内の病院には、20の診療記録が部残っていた。
元の男性は部傷による脳挫傷と診断され、緊急術を受けていた。命は助かったが、記憶と言語に障害が残った。
医師が名や所を尋ねても、男性は答えられなかった。
数、ベッド脇のに《千》とこうとしたが、《千》の字をいたところでが止まったという。