"合格発表の日、父は消えた" 第6話
「識はありました。自分でちがることもできました。ただ、ひどくふらついていたので部座席へ寝かせました」
「それなら、なぜ救急を呼ばなかったんですか」
千が尋ねると、瀬は線をそらした。
「本が嫌がったからです」
助席にいた美咲の証言は違っていた。
現39歳になった美咲は、野県内の児童養護施設で活指導員として働いていた。警察から連絡を受けると、自分から埼玉へ戻ってきた。
20のことを話す美咲のは、膝ので震えていた。
「佐伯さんは、救急を呼んでほしいと言いました」
転倒、正雄は度識を失った。数分に目をけたものの、自分がどこにいるのか分からず、言葉もうまくなかった。
美咲は病院へ連れていくよう求めた。
しかし瀬は、救急を呼べば推薦類の偽造が発覚し、美咲も共犯として逮捕されると言った。
「先は、佐伯さんをし休ませるだけだと言いました。目が覚めたら、に帰すと」
瀬は正雄を部座席へ乗せ、自分でタクシーを運転した。ガソリンスタンドで燃料を入れたあと、荒川くの資材倉庫へ向かった。
その倉庫は、予備を経営する法が教材を保管するため借りていたものだった。
午8すぎ、正雄を倉庫内の古い子へ寝かせた。識は再びれていたが、呼吸はしていた。
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瀬は正雄の着と靴を脱がせ、財布や免許証をタクシーへ戻した。
「靴を川辺へ置いたのは先です」
美咲は声を詰まらせた。
「学費を払えず、自分でいなくなったように見せると言っていました。数たってから佐伯さんをくの駅へ連れていけば、本が借から逃げたことにできるって」
「あなたは止めなかったんですか」
千の問いに、美咲はうつむいた。
「怖くてけませんでした。先から、本当の名で父親のところへ戻すと言われました。あのへ帰りたくなければ、何も見なかったことにしろと」
当の美咲は19歳だった。
母をくし、父親から逃げ、施設でも偽名を使っていた。瀬に逆らえば、自分には帰る所がないとい込んでいた。
瀬は正雄の靴を川敷へ置き、タクシーを倉庫のへめた。その、美咲を青空学園のくまで送り、しないよう命じた。
翌朝、美咲は活指導員に、正雄がけがをして倉庫にいると伝えようとした。
しかしテレビではすでに、タクシー運転が川付で失踪したと報じられていた。瀬から話もあり、何か話せば美咲が正雄を襲ったことにすると脅された。
美咲は3迷った。
4目、施設の公衆話から匿名で警察へ話をかけ、倉庫を調べてほしいと伝えた。
警察官が到着したとき、倉庫は空だった。
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には血の付いた布が残っていたが、量はなく、正雄がするようなけがを負ったとは判断されなかった。
通報者の氏名も分からなかったため、倉庫と失踪事件の関連は証されなかった。
「父は、自分で倉庫をたんですか」
「分かりません。でも先が戻って運んだのではありません。あのから、先も佐伯さんがどこへったのからない様子でした」
美咲は、正雄から預かっていた学の類を差しした。
瀬に見つからないよう制の裏へ隠し、その20保管していたという。
類のには、学の正しい納付期限と分納制度について正雄が記したメモがあった。
《千は入学できる。帰ったら緒に続きをする》
父は娘に学を諦めさせるつもりではなかった。
黄いチューリップを買い、格通をに置き、美咲の問題を解決したあと、娘の待つへ帰るつもりだった。
それでも千には、もうつ確かめなければならないことがあった。
倉庫をた正雄は、なぜへ戻らなかったのか。
父は識を取り戻したあと、午217分にくの公衆話から自宅へ話をかけていた。
通話記録が残っていた。
その話を受けたのは、千ではなかった。
叔母のだった。
正雄が失踪した夜、千は警察署で事を聞かれていた。
叔母のは自宅に残り、警察や親戚からの話に対応していた。午217分、公衆話から着信があった。