"合格発表の日、父は消えた" 第2話
入学の締め切りまで3しかなく、120万円を用できなかった。父の借もあり、自分だけ学へくことは許されないようにじた。
自宅を放し、父方の叔母であるのへを寄せた。昼はスーパーマーケットで働き、夜は商品の陳列や清掃の仕事を続けた。
学の教科を買うために貯めていたは、正雄が会社から借りたの返済に使った。
父に裏切られたといながら、それでも完全に憎むことはできなかった。
黄いチューリップは、千が幼いころから好きだっただった。正雄が格を祝おうとしていたことだけは、押しつぶされた束から伝わっていた。
それから20が過ぎた。
2023、39歳になった千は、県内に22舗を持つスーパーの区域責任者になっていた。教育や売り改善を任され、1で活するには分な収入も得ていた。
結婚はしなかった。
父の失踪が理由だと自分ではっていなかったが、誰かと将来の約束をすると、そのも突然いなくなるような気がした。
同6、川越央タクシーが廃業した。
会社の両を処分していた備から、千へ本の話がかかってきた。
「佐伯正雄さんが最に乗っていた27号について、お話ししたいことがあります」
廃になったと聞かされていた27号は、20、会社の倉庫に残されていた。
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さらに、取りされた料メーターのから、正雄の失踪を覆す記録が見つかったという。
川越央タクシーの旧庫には、廃業を待つ両が並んでいた。い体の塗装はくすみ、会社名を消した跡だけが側面に残っている。
27号は、倉庫の番奥に置かれていた。
警察の検証が終わった2005、廃処分されたという記録になっていたが、実際には運転の練習用として使われていた。公をることはなく、故障した料メーターも交換されないまま残っていた。
「故障ではなかったんです」
備士は、取りした黒い計器を作業台へ置いた。
「表示部分が壊れていただけで、内部の記録装置はきていました。古い型なので専用器が必でしたが、部のデータを取りせました」
復元された記録には、失踪当だけでなく、その18か分の報が残っていた。
正雄は毎第2曜の夜、ほぼ同じ経をっていた。
午7に川越郊の児童養護施設「青空学園」で乗客を乗せ、京都板区にある古い集宅へ向かう。約2、同じ乗客を施設まで送り届けていた。
片41.8キロ。
乗数は1。
運賃は毎回0円に修正されていた。
正雄が失踪した200338は第2曜ではなかった。それでも午518分、青空学園のくで最の乗記録が始まっている。
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距も普段とほぼ同じだった。
「父が毎、施設の子どもを京まで運んでいたんですか」
「記録はそうなります。ただ、営業を無料で使うことは会社の規則に反します。メーターを0円に修正するには、管理者用の鍵が必でした」
正雄だけでなく、会社側もこの送迎をっていたことになる。
備士は、部座席の背もたれと座面のから見つかったものも見せた。
古いプラスチック製の徒証だった。
表面には《等部3 佐伯千》と印刷されている。学名は千が通っていたではなく、青空学園と提携していた通信制だった。
顔写真の女は千ではなかった。
齢は同じくらいだが、い髪と細い目をした、見覚えのない女だった。
警察は事件を再検討することになった。
青空学園は2010に運営法が変わり、旧施設は取り壊されていた。部の記録はしい法へ引き継がれていたが、2003以の入所者名簿には欠落がかった。
残された子データには、《佐伯千、1983912まれ》という女が登録されていた。
所、父親の氏名、まで、本物の千と致していた。
ただし写真だけが違っていた。
記録、もう1の佐伯千は20014から20033まで青空学園で活している。学希望先の欄には、千が格した京部学の名がかれていた。
「この女が、父の最の乗客だったのでしょうか」
担当刑事の宮は、断定できないと答えた。