"消された合格通知" 第8話
最初から続けられる形にしたい」
子はそのはをきかなかった。、自分で産会社へき、とパート収入で審査を受けた。広さは希望より狭かったが、保証会社を利用できる部が見つかった。
引っ越しの、子はしい鍵を直へ預けようとした。
「緊急用に持っていて」
直は、封筒に入れて管理会社へ預けられないか確認した。母は瞬寂しそうにしたが、「あなたを試すみたいなことをした」と認め、鍵を引っ込めた。
親切にすることと、活の責任者になることは違う。直は具を組みて、い箱を運び、そのの夕を母とべた。そして自分の部へ帰った。
昭は直へ話し、「母さんを連れ戻せ」と命じた。
「夫婦のことはで話して」
「おが余計なことを掘り返さなければ、こんなことにはならなかった」
「母さんがた理由を、また俺のせいにするのか」
「族を壊して、よく平気でいられるな」
直は静かに答えた。「壊れないように見せるため、俺と母さんが黙っていただけだ」と。
父とはそれから半連絡を取らなかった。
その、直は講座を修し、《舟》の商品企画と教育を任されるようになった。与は実代よりしい程度だったが、残業代と休があった。何より、担当商品には発者全員の名が社内記録へ残った。
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直が考えた《夕方のパン箱》は、売れ残りを詰める福袋ではない。帰宅が遅い向けに、翌朝温め直してべられる型パンを予約販売する仕組みだった。販売担当の理が予約画面を作り、若い職の宋が凍のを改良した。
元の取材で「誰が発案者ですか」と聞かれ、直はの名を答えた。記者はの物語にしたがったが、直は譲らなかった。
記事がた、父から封が届いた。には専学の格通のコピーと、便箋が枚入っていた。
《返せと言うから返す。これで気が済んだだろう》
そのコピーの隅には、昭が当いた借入返済の数字が残っていた。格通を計算用の代わりにしたのだろう。百万、賃、材料費。数字のにはきく《無理》とかれていた。
直は初めて、父が何を怖がっていたかを具体に見た。を失う恐怖は本物だった。伯父の急、取引先も借も昭が背負い、誰にも相談できなかったのだろう。
しかし、恐怖が本物なら嘘が許されるわけではない。父は奨学や学寮を調べず、直へ数字も見せず、で《無理》と決めた。として守ったのではなく、が違う答えをす能性に耐えられなかったのだ。
直は通のコピーを専学の資料と緒にしまった。父を単純な怪物にしておけば、りは保ちやすい。
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だが、さを理解したうえで責任を曖昧にしない方が、ずっと難しく、必なことだった。
謝罪はなかった。直はを破らず、額にも入れず、ファイルへしまった。歳の自分が確かに格していた証ではある。しかし、歳の自分をへ運ぶ許証ではなかった。
昭が《舟》へ来たのは、直がをてだった。杖をつき、のベンチに座っていた。
「膝の術をする。週、を閉めることになった」
「拓は?」
「あいつは週、別のホテルで働く。だけでは料がせない」
父の声から以の勢いは消えていた。それでも「助けてくれ」とは言わなかった。
「塩麹あんパンをやめようとう」
直は胸がし痛んだ。奪われた商品なのに、なくなると聞けば寂しかった。の朝が、そのに染み込んでいた。
「続けるかどうかは、にいるが決めればいい」
「おは何ともわないのか」
「うよ。でも、うことと戻ることは別だ」
昭はの窓に貼られた《夕方のパン箱》の記事を見た。
「で作ったといてある。はおだろう。なぜ自分の名をきくさない」
「きくす必があるはす。でも、の名をさくして自分をきくする必はない」
父は皮肉を言わなかった。く黙ったあと、「格通のことは、悪かった」と言った。
直はその言葉を何も待っていた。ところが実際に聞くと、胸の傷が閉じる音はしなかった。