"消された合格通知" 第7話
「兄さんはへたから簡単に言える」と返した。
「へるのも簡単じゃなかった。で取りががり、畳の部に引っ越した。商品は売れなかった。でも、その結果を誰かのせいにしないで済む」
拓は何も言わず帰った。
実際、拓は度逃げた。翌、ホテルの寮へ移ると告げ、になかった。子から連絡を受けても、直は弟を説得しなかった。
目の夜、拓から話があった。「母さんがでにをけた。倒れたら兄さんは平気なのか」と言われた。
「平気じゃない。でも、母さんがをけると決めた責任まで俺には取れない」
「族なのに、どうしてそんなに割り切れる」
「割り切れてないから、決めた線を守ってる」
話の翌、拓はへ戻った。ただし父に謝って以の状態へ戻ったのではない。週まで、与が遅れたら勤しない、ホテルの仕事を辞めないという条件をにいた。
昭はを破いたが、拓はコピーを税理士に渡していた。父が初めて息子の条件をんだのは、を入れ替えたからではなく、ほかにを仕込めるがいなかったからだ。
直はその話を聞き、弟がようやく自分と同じ側へ来たとはわなかった。拓は拓の活を守るためにいただけだ。それで分だった。連帯は、同じを持つことではなく、互いの選択を邪魔しないところから始まるもある。
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末、拓から枚の売表が送られてきた。兄に助けを求める文章はなく、《数字の見方だけ、違いがないか確認してほしい。嫌なら返事はいらない》とあった。
直はの判断にはをさず、消費税の欄が計になっている箇所だけ指摘した。拓は《ありがとう》と返した。それがのぶりの会話だった。仲のよい兄弟には戻らなかったが、利用する側とする側以の話し方を、しずつ覚え始めていた。
か、子と拓は昭を交え、税理士の事務所で話しった。直は参加を断った。、母から聞いた内容では、包装のリースは解約がく、すぐには放せない。を縮し、営業をくし、父個の交際費を事業からすことになった。
昭は納得せず、へなかった。だが、は拓と子、のパート従業員でいた。
目、昭は戻ってきたものの、以のように全てを決めることはできなくなった。族が反抗して父が改したのではない。数字との限界が、父の権限を狭めたのだ。
には《代目・拓がんだ》の旗が撤された。商品札は《麦の灯でまれた塩麹あんパン》へ変わった。直の名もかれなかったが、弟の嘘も消えた。
「それでいいの?」と理に聞かれ、直は考えた。
「よくはない。
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でも、今は名を取り返すより、しい名で何を作れるかの方が事になった」
子がをたのは、格通の真実がらかになってから半だった。歳で、駅から分の営宅へ移った。
婚ではなく、まず別居だった。父が母の定期預を無断で解約しようとしたことが直接のきっかけだったが、それだけではない。
「直にしたことを謝ったら、お父さんは『おも同しただろう』と言った。その通りだった。私は被害者の顔をして逃げられないとった」
母は自分の責任を認めたうえで、これから父の責任まで引き受けないと決めた。法テラスで財産や分割について相談し、の保証になっていないことを確認した。
直は引っ越しを伝ったが、同居は提案しなかった。子も求めなかった。
「あなたに老を返してもらおうとはわない。自分の活費は、自分で計算する」
その言葉を信じたいとった。ただし信頼は、言葉ではなく今ので戻るものだった。
営宅の抽選にれた最初の、子は「保証の名だけ貸して」と頼んできた。直はすぐ引き受けず、保証会社のある物件を緒に探した。
「親子なのに、そこまで避けるの」と子は傷ついた顔をした。
「母さんを信用していないからだけじゃない。
俺が保証になったら、困ったに断れなくなる。