"3年の介護と兄のタワマン頭金" 第16話
師の澄んだ空の、実の解体事が始まった。
曜、私は散歩の途でし回りをして、実のあったへち寄った。
の唸る音が響き、父がに頼んで建てた頑固な梁や柱が、巨な鉄の爪によって次々と引き剥がされていた。庭の槙のはすでに根元から切り倒され、荒れ放題だったツツジの植え込みもごと掻きされていた。
埃がいがらないよう、作業員がホースで撒くが、の差しを浴びてくっていた。
子どもの頃、健とで柱に背を当てて背比べをした傷も、母が座卓を叩いて私を鳴りつけた居の畳も、もうそこにはなかった。すべてはトラックの荷台に積まれ、ただの屑と瓦礫になって運びされていく。
胸のに、痛みはなかった。 ただ、たいが通り抜けていくような、静かな空虚さだけがあった。
というのは、族の記憶を守る所ではなく、にを呪縛するための檻にもなるのだと、更になりつつある面を見つめながらった。
スマートフォンがポケットのでく震えた。
画面を見ると、しく入居した齢者宅の職員からの連絡だった。 『敏子様、本のデイサービスでの貼り絵教に無事参加されました。の痛みも落ち着いているご様子です』 添付された写真には、の入居者たちと同じテーブルに座り、ぎこちないつきでをちぎっている母の姿がさく写っていた。
私は「確認いたしました。いつもありがとうございます」とだけ返信を打ち、画面を閉じた。
駅の自分のアパートへ向かって、歩きした。
途のスーパーで、今夜の自分のための材を買おう。 根と豚肉を買って、今夜は自分の好みので、静かに煮物を作ろう。
誰かの嫌を伺うことも、誰かの見栄のために擦り減ることもない。 たいの向こうに、富士のい頂がくっきりと見えていた。私のは、迷いなくへんでいた。
(完)